【気になる!】文庫『美術ミステリーアンソロジー 歪んだ名画』

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【気になる!】文庫『美術ミステリーアンソロジー 歪んだ名画』

[レビュアー] 産経新聞社

 美術をテーマにし、評価の高い短編ミステリー8編を収めた。大阪の古美術店に、なじみ客から大量に持ち込まれた美術品。それに隠されていた巧妙なわなとテンポのいい会話が読者を引き込む黒川博行の「老松ぼっくり」。能登の海で42歳で亡くなった天才画家と、その伝記を書いた男との間にある深い闇を描いた松本清張の「装飾評伝」。

 ほかにやきものをモチーフにした幻想的な「曜変天目の夜」(恩田陸)、男女の心理劇が魅力の「火箭(ひや)」(連城三紀彦)など、美術ミステリーの奥深さを味わうことができる。(千街晶之編、朝日文庫・880円+税)

産経新聞
2021年1月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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