冬の寒い朝、道に落ちていたひとつの赤い毛糸の手袋。雪降る中でじっと待っていても埋もれるだけで、もう一方の手袋は戻ってこない。相棒を捜しに小さな旅にでた。街ではペアで仲良く楽しそうに歩く手袋たち。やがて疲れ果てあてもなく歩くと、毛糸はほどけて…。
作者の体験をもとに描かれたという。大事なものを失うことのつらさと、人と寄り添いながら生きることの大切さを教えてくれる。白い世界の中でくっきりと浮かび上がる赤い手袋が印象的で心に染みる。(講談社・1400円+税)

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2021年1月31日 掲載
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