増田薫著 「いつか中華屋でチャーハンを」

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いつか中華屋でチャーハンを

『いつか中華屋でチャーハンを』

著者
増田 薫 [著]
出版社
スタンド・ブックス
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784909048103
発売日
2020/12/11
価格
1,760円(税込)

書籍情報:openBD

増田薫著 「いつか中華屋でチャーハンを」

[レビュアー] 橋本倫史(ノンフィクションライター)

 「中華」という言葉に、わたしが真っ先に思い浮かべるのはラーメンに餃子(ギョーザ)、それにチャーハンである。本書はこういった定番から外れた中華を食べ歩く。著者はミュージシャン。初めてウェブ連載したエッセイ漫画が反響を呼び、書籍化に至った。

 あんかけカツ丼、中華うどん、ダル麺、シチュー、パンメン、レタス包み、中華オムライス。本場の中華が輸入されるときに、店主が翻案することで生まれたローカルフードの数々。著者はその来歴を尋ねてまわり、どのようにして誕生したのか、解き明かそうとする。が、壁に行き当たると、時に「ぜんぜんわかんない!!!!」と放り出す様に、思わず笑ってしまう。

 この軽やかさが、著者の持ち味である。軽妙な筆致によって、あまり書き残されてこなかった食文化を記録することに成功している。印象的なのは、最後にチェーン店にたどり着くところ。日常の中にある、ありふれたものと見逃していた料理も、この本を読み終えた今ではかけがえのない一品に思えてくる。(スタンド・ブックス、1600円)

読売新聞
2021年1月31日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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