【児童書】『とりあえずまちましょう』五味太郎作 我慢の先には何がある
[レビュアー] 正木利和(産経新聞編集委員)
たとえば、カップラーメンだってお湯を入れてできあがるまで最低3分は待たなければならない。
通勤・通学のバスや電車から始まって眠りにつくまで、ひとが何かを待っている時間というのは、1日にどれくらいあるものだろう。それが積み重なって、人生の単位で考えるとすれば…。
ページをめくるうちに、ついついそんなことを考えてしまった。
本書の最初に登場する日本料理のフルコースなどは、待つこと自体にわくわくするような楽しみがある。ほかにもトイレの順番を待つ長い列なんていうのもあれば、夜空を見上げてUFOを気長に待つ親子も登場する。
世の中、とりあえず待たないといけないことの何と多いことか。
でも、待つという辛抱、我慢の先には、なにかいいことがある。たとえばゲームでじっと耐えた先にチャンスが見えるような…。
今回のコロナ禍も、そう信じて過ぎ去るのをじっと待ちましょう。(絵本館・1300円+税)
正木利和