相田洋著「中国生業図譜」

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中国生業図譜

『中国生業図譜』

著者
相田 洋 [著]
出版社
集広舎
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784904213964
発売日
2020/12/08
価格
3,850円(税込)

書籍情報:openBD

相田洋著「中国生業図譜」

[レビュアー] 加藤聖文(歴史学者・国文学研究資料館准教授)

 中国の押し込み強盗は、顔に墨を塗るそうだ。その盗賊たちも●蛋(かんたん)(強盗を襲う強盗)・拍花(はくか)(麻酔薬強盗)・塩梟(えんきょう)(塩の密売)・放白鴿(ほうはくこう)(結婚詐欺)などなど細分化していた。この他にも人口販子(じんこうはんし)(人買い)という天秤(てんびん)棒で子供を売り歩く者もあって、日本とは比較にならないほど裏社会の層が厚い。また、中国といえばお馴染(なじ)みのアヘン窟もビジュアルだとよくわかる。(●は「そうにょう」に早)

 正業から裏稼業まで多彩な生業(なりわい)が収録されている本書からは、フランス租界の糞尿(ふんにょう)処理で巨万の富を築いた「馬桶(おまる)女王」はじめ中国の人びとの生命力とそれを包み込む社会のディープさが伝わってくる。

 こんな生業が、ほんの70年前の中華人民共和国成立まで存在していた。そして、改革開放後、姿形は変われども似たような生業が中国のそこかしこに復活している。国家は変わっても人びとの生命力は変わらない。(集広舎、3500円)

読売新聞
2021年2月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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