ランキング ペーテル・エールディ著 日本評論社

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ランキング

『ランキング』

著者
ペーテル・エールディ [著]/高見典和 [訳]
出版社
日本評論社
ジャンル
社会科学/経済・財政・統計
ISBN
9784535559813
発売日
2020/12/22
価格
2,970円(税込)

書籍情報:openBD

ランキング ペーテル・エールディ著 日本評論社

[レビュアー] 稲野和利(ふるさと財団理事長)

 ネット空間でも紙のメディアでも、今や私たちの日常においてランキングと呼ばれるものを目にしない日はない。

 「おいしいレストラン20選」、「住みやすい町ランキング」、「大学ランキング」、「病院ランキング」、「危ない銀行ランキング」……。本書は、ランキングのメカニズムを解説し、利用者が陥りやすい陥穽(かんせい)を指摘しながら、ランキングに向き合う知的態度を教えてくれる。投票制度、人事評価プロセスの定量化、信用スコア、大学ランキング、科学者のランキング、検索エンジンなど俎上(そじょう)に載せられるものはいずれも興味深い。

 ランキングは、データベースとアルゴリズムによって生み出される。アルゴリズムを変えれば、結果のランキングも変化する。ここで便利さと操作可能性は隣り合っている。「ランキングというのは、どの指標を重視し、それらにどう重み付けするかにかんする主観的な意見表明でしかない」という著者の言葉に得心がいくならば、健全な懐疑とともにランキングに冷静に向き合うことができよう。「出来合いのランキングのみにもとづいて自分の行動を決めるのは望ましくない」のは当然であり、可能であるならばランキングを決定する個別要素のウエイトを自分の好み等で変えた「個別化ランキング」が有用となる。

 説明責任や透明性という言葉が呪文のようにあちこちで唱えられる今日の環境では、社会も企業も定量的指標による測定や評価に傾斜していく。それはランキングの利用であり、客観性の追求でもある。本書は一貫して客観的であることの困難さに触れるが、それでも定量的指標の有用性は否定しない。著者は「慎重に信用する」というルールを提唱するが、これこそがデジタル社会で求められる行動様式なのであろう。評者は「慎重に信用する」という言葉を吟味すればするほど、主観的評価の問題について考えずにはいられなかった。高見典和訳。

読売新聞
2021年2月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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