北川清、徳山加陽著「地図で読む松本清張」

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地図で読む松本清張

『地図で読む松本清張』

著者
北川 清 [著]/徳山 加陽 [著]/帝国書院編集部 [著]
出版社
帝国書院
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784807165384
発売日
2020/12/23
価格
1,980円(税込)

書籍情報:openBD

北川清、徳山加陽著「地図で読む松本清張」

[レビュアー] 稲野和利(ふるさと財団理事長)

 『点と線』や『ゼロの焦点』、増補された『天城越え』など11作品の主人公や登場人物の足取りを地図で確認し、解説を付す。反芻(はんすう)にはもってこいの構成だ。作品に描かれた時代の地図・写真が現代のそれと対比され、時の移り変わりを感じずにはいられないが、一方、清張作品には時代が変わっても色褪(あ)せない魅力があることがよく分かる。

 資料編では、昭和32年『中学校社会科地図』復刻版の上に11作品以外も含めた作品上の主要な「地点」が示されるが、見れば舞台が周到に選ばれていることに気付く。今ほど遠くへの旅が身近ではない時代に、読者は読書と同時に旅をしているような気分を味わえたのである。随所に挿入されているコラムを読めば、筋立てだけではなく、様々な道具立てが清張作品に魅力を与えていることが分かる。清張ファンに至福の時を与えてくれる一冊。(帝国書院、1800円)

読売新聞
2021年2月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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