『生きるとか死ぬとか父親とか』
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【気になる!】文庫『生きるとか死ぬとか父親とか』
[レビュアー] 産経新聞社
20代で母親を亡くして約20年を経たコラムニスト、ラジオパーソナリティーの著者(日本人)が「なにも知らないも同然」だった父親の人生に迫り、家族の物語をつづる痛快エッセー。
マイペースで周囲を振り回すのが得意な父に、愛憎入り交じった視線を送る娘は母とのなれそめ、戦時下体験、かつての仕事のことなどを聞き、長年目を背けてきた現実にも直面する。
解説の中江有里氏いわく「父、そして父娘関係を刃物で切り開いて断面をさらけ出す」文章の迫力に引っ張られながら、読後は心がじんわり温かくなる。この春のドラマ化も楽しみだ。(ジェーン・スー著、新潮文庫・550円+税)