戦前尖端語辞典 平山亜佐子編著、山田参助 絵・漫画

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戦前尖端語辞典

『戦前尖端語辞典』

著者
平山亜佐子 [著、編集]/山田参助 [イラスト]
出版社
左右社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784865280111
発売日
2021/01/31
価格
1,980円(税込)

書籍情報:openBD

戦前尖端語辞典 平山亜佐子編著、山田参助 絵・漫画

[レビュアー] 尾崎真理子(早稲田大学教授/読売新聞調査研究本部客員研究員)

 激動期は新奇なコトバを多産する。第一次大戦に関東大震災、スペインかぜ、恐慌。大正8年から昭和15年の流行語285語を、同時代の30もの辞典から集めた。

 <現代は止(とど)まる処(ところ)を知らず、突進するロケットである。物凄(すご)く時代が進転する、ルゝゝゝゝ>。『モダン流行語辞典』序文のなんと楽天的な。「モダン」こそが最大の流行語。会社や学校に電車で通い、デパートで買い物や喫茶を楽しみ、映画やレビューを観(み)る――都市生活の西洋化は総じて「モダン」と称された。

 流れに取り残されぬよう、新知識を仕入れる機運も盛り上がる。後押ししたのが津々浦々まで普及した新聞、ハンドブック的な辞典類だ。

 尖端語の発信地の一つはエリートの集結した旧制一高で、コンパル(阿弥陀くじで負担分を決めた会合)、音痴やSOSも一高生まれらしい。「愚連隊」(勤め人の寄り道)、スタンバイ(見惚(みほ)れる)など意味を変えて残る語、イミシン、アブノーマルなど、微妙なニュアンスを今に保つ語もある。

 山田参助氏の絵と漫画が往時の雰囲気を巧みに再現!(左右社、1800円)

読売新聞
2021年3月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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