日本にとって最大の危機とは? 岡本行夫著

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日本にとって最大の危機とは? 〝情熱の外交官〟岡本行夫 最後の講演録

『日本にとって最大の危機とは? 〝情熱の外交官〟岡本行夫 最後の講演録』

著者
岡本 行夫 [著]
出版社
文藝春秋
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784163913230
発売日
2021/01/28
価格
1,430円(税込)

書籍情報:openBD

日本にとって最大の危機とは? 岡本行夫著

[レビュアー] 国分良成(国際政治学者・防衛大学校長)

 本書は、新型コロナウイルスに倒れ不帰の人となった岡本行夫氏の最近の講演を収録した警世の遺稿集である。

 岡本氏の主張はいつも率直で明快、そして日本に対する愛情に溢(あふ)れていて国益を外さない。彼には黒沢映画の「用心棒」の風格が漂っていた。

 岡本氏によれば、国際情勢の大変動は30年サイクルで、現在は独裁、ユニラテラリズム(単独行動主義)、ポピュリズムの時代に入った。特に中国の膨張傾向は今後も止まりそうになく、日中衝突の可能性すらある。こうしたなかで、日本は自主防衛に向かう余裕がない以上日米同盟を強化する以外に道はない。

 危機意識の薄い日本に必要なのは国際感覚と国防意識、それに英語能力だと説く。また国際社会では他者への配慮が重要であり、過去の日本の加害者としての歴史もきちんと認識すべきだという。

 岡本氏の凄(すご)さは行動力にもある。沖縄基地問題に直接関わり、東日本大震災では漁業維持のために冷凍施設の確保に尽力した苦労話も本書で触れている。世界のオカモトは強靱(きょうじん)な志と優しいハートをもったサムライであった。(文芸春秋、1300円)

読売新聞
2021年3月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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