互いに支えあって生きてきた双子の姉弟、朱里と伊吹。20歳の誕生日、姉は城の石垣から身を投げて命を絶った。《伊吹、ごめん。》と書き置きを残して。
遺品を整理していた伊吹は、姉の荷物から大衆演劇の雑誌と劇場の半券を見つける。自死の1週間前、姉が見ていた「鉢木座」の公演。足取りを追って一座を訪ねた伊吹は、若座長・慈丹に見初められ入団を決意する。女形として舞台を重ねる伊吹が探り出した、一座の過去と姉の死の真相とは-。
血脈がもたらす辛苦と、それを乗り越えた先に見いだされる希望とを生々しく描き切った注目作。(集英社・1800円+税)
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2021年3月14日 掲載
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