狂気の天才などといわれるオランダ出身の画家ゴッホだが、「彼の芸術が狂気ゆえに作られたと考えるのは間違っている」と著者は説く。病気の発作が起こらないときのゴッホは、「明確な意図を持って制作をする理知的な画家」だったからだ。
ゴッホ関連の書籍や作品集は山のように出ているが、本書は鮮やかな色彩やみずみずしい筆触を大画面で楽しめる。重すぎず、程よいサイズなのもいい。東京ステーションギャラリー館長を務める著者の平易な解説は、入門者にもゴッホの革新性や色あせぬ魅力を余すことなく伝えてくれる。(東京美術・3000円+税)
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2021年3月21日 掲載
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