WAYFINDING 道を見つける力 M・R・オコナー著

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WAYFINDING 道を見つける力: 人類はナビゲーションで進化した

『WAYFINDING 道を見つける力: 人類はナビゲーションで進化した』

著者
M・R・オコナー [著]/梅田智世 [訳]
出版社
インターシフト
ISBN
9784772695718
発売日
2021/01/06
価格
2,970円(税込)

書籍情報:openBD

WAYFINDING 道を見つける力 M・R・オコナー著

[レビュアー] 小川さやか(文化人類学者・立命館大教授)

 風や星、地形などを見極めて、氷の大地を何百キロも旅したイヌイット。先祖から受け継いだ土地に関わる物語「ドリーミング」を使って目的地へと辿(たど)りつくオーストラリアの先住民。科学的な知識とスピリチュアルな知識をより合わせて島から島へと自在に航海したオセアニアの人びと。

 本書は、地図もコンパスも持たない人々の「ウェイファインディング(道探し)」の能力をスリリングに解き明かし、それこそが特定の環境を生き抜き、未知なる領野へ踏み出すことで進化してきた人類の根源的な能力であったことを開示する。と同時に重大な問いも投げかけている。

 GPSなどのナビゲーション補助具によって、人類はいまウェイファインディングの能力、そしてそれに関わる海馬という脳の領域を急速に衰退させつつある。それは人類の未来にどんな影響をもたらすのか。自身と世界をつなぐ知的能力と情緒能力の結晶であるウェイファインディングの能力は、私たちが人生に迷い、社会が進むべき方向を誤った時に新たな道を見つける力でもあったのではないかと。梅田智世訳。(インターシフト、2700円)

読売新聞
2021年3月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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