「世襲」か「たたきあげ」かで政治家を区別したり、「名家」や「老舗」に一目置いたり。世代や系図、家柄に関心が集まる日本社会。本書は中でも「三代目」という観点から、近代日本をとらえようとする社会学の意欲作だ。
自分を三代目におくと、祖父母はもっとも身近な「祖先」にあたる。祖父母が生きた時代は想像しやすく、その範囲は明治以降の日本の歩みに重なるのではないか、というのが著者の問題提起だ。
天皇家の歴史を扱うなど学術的な面もあるが、著者自身の家族の歴史や「お笑い第七世代」を例にした論考もあり、興味深い。(青土社・1800円+税)
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2021年3月28日 掲載
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