『法学を学ぶのはなぜ?』
書籍情報:openBD
<東北の本棚>難解なイメージを覆す
[レビュアー] 河北新報
大学の法学部受験者数が減少し、「つぶしがきくのは法学部」と言われる時代ではなくなった。理屈っぽくて難解。内向き。司法試験を目指さないなら将来役に立ちそうにない…。そのようなイメージが先行しているからではないか?
本書執筆のきっかけに、関係者たちのそんな現場感覚があったという。イメージを覆すべく、本書は出版された。
「法学を学ぶことは、本当に役に立つのだろうか? 『向き不向き』はあるのだろうか? 法学を学ぶことによって、どんないいこと(悪いこと)があるのだろか?」。冒頭から読者を引き込む。
法学とはどんな学問、目的で、法はどのように作られ、運用、変化していくのかといった体系的な基礎知識を説明した入門書だ。筆者が示す「法」とは、社会全般のルールを含めた「法ルール」。「法学は、『ことばを使って』社会をコントロールしていくための技術」と指摘する。
「法学を学ぶのはなぜ?」「私がこれを学ぶ理由 先輩からの10のメッセージ」の2章立て。法学専門家の経験談はそれぞれに興味深い。
著者は東北大法学部教授。最初に考えた本のタイトルは、「ボーっと法学部に行ってしまわないための法学入門」だったという。(相)
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有斐閣03(3264)1314=1540円。