【児童書】『みんなとおなじくできないよ 障がいのあるおとうととボクのはなし』湯浅正太作、石井聖岳絵
[レビュアー] 三保谷浩輝
■「きょうだい児」にエール
「おとうとはむかしから ちょっとヘンだった」。ジタバタ走って転んでばかり、みんなが踊っていても困った顔をしてじっとしている、おしゃべりはつっかえるし、文字はグニャグニャ、やることはいつもおそく…。弟のことは好きだけど、見ていると何だか悲しくなる。
だが、ある日、校庭で友達にいじわるされていた弟がボクに言った一言が胸に迫った。「みんなとおなじくできないよ」-。そしてボクは思う。弟のことをもっとわかりたい、と。
障がいのある兄弟姉妹がいる「きょうだい児」をテーマに、自身もきょうだい児で小児科医の作者が実体験をもとに作った絵本。作者も弟を恥ずかしく思い、そんな自分を責めたこともあるというが、弟から多くのことを教わったとも。
作者は悩めるきょうだい児を支援したいとサポート活動を続けており、本書もその一環。本書に込められた「キミはひとりじゃないよ」のメッセージに励まされた子供たちからの反響が続々届いているという。(日本図書センター・1760円)
三保谷浩輝