八條忠基著「日本の装束 解剖図鑑」

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日本の装束解剖図鑑

『日本の装束解剖図鑑』

著者
八條 忠基 [著]
出版社
エクスナレッジ
ジャンル
芸術・生活/芸術総記
ISBN
9784767828619
発売日
2021/03/09
価格
1,760円(税込)

書籍情報:openBD

八條忠基著「日本の装束 解剖図鑑」

[レビュアー] 梅内美華子(歌人)

 内裏雛(びな)を見ると今でもそっと手を触れたくなる。雅(みやび)な色合いだけでなく、ふっくらとしたフォルムを支える何枚もの衣の緊密度や、冠・髪上げなどの付帯物が高貴な世界への憧れを誘うからだ。

 本書は古代から令和まで千年以上にわたる服飾の歴史をイラストと解説で辿(たど)る。「装束」と呼ぶのは宮中の儀式で用いられた正装に由来するからだ。身分制度があった時代には装束の種類や色にも約束事が厳密に定められていた。即位の礼の装束、黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)は天皇以外着用できない「禁色」。

 装束も時代とともに変化。十二単(ひとえ)と呼ばれたものは令和の即位礼では五衣唐衣裳(いつつぎぬからぎぬも)となり、見える部分だけを5枚重ねとして軽量化が図られたという。時代劇で見る裃(かみしも)は、武家の簡略化された衣・素襖(すおう)の袖を切り活動し易(やす)くしたもの。

 イラストは折り目やカーブがくっきりと描かれていて輪郭を想像しやすい。模様、グラデーションなどの再現度も高く目にやさしく入ってきて装束のゆかしさや美に気軽に溶け込める本だ。(エクスナレッジ、1760円)

読売新聞
2021年4月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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