よみがえる白鳳の美 加藤朝胤ほか著

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よみがえる白鳳の美 国宝薬師寺東塔解体大修理全記録

『よみがえる白鳳の美 国宝薬師寺東塔解体大修理全記録』

著者
加藤朝胤 [著]/鈴木嘉吉 [著]/星野安治、他 [脚本]
出版社
朝日新聞出版
ジャンル
歴史・地理/日本歴史
ISBN
9784022587060
発売日
2021/02/19
価格
2,970円(税込)

書籍情報:openBD

よみがえる白鳳の美 加藤朝胤ほか著

[レビュアー] 佐藤信(古代史学者・東京大名誉教授)

 「凍れる音楽」と称される奈良薬師寺の国宝東塔の全面解体修理の記録である。

 平城京での創建以来1300年間凜(りん)として建つ東塔は、近代の部分修理後もかなり傷み、今回12年をかけ総解体修理が行われた。創建以来初の全面解体で行われた調査・研究の成果と、再建方針の模索は、大変興味深く知的刺激に富む。

 今日的レベルでの建築史・考古学・美術史・文化財科学など多分野からの総合的調査で得た多くの新発見を、豊富な写真付きでわかりやすく紹介している。

 初の基壇の発掘では、創建時の強固な遺構や地鎮具の銭貨などが見つかり、再建には礎石・基壇に鉄骨をかぶせる新基壇工法が採られる。東塔の構造解明にあわせて、部材の年輪年代測定から伐採年が730年頃と判明し、造営年代が知られた。極力古材を再利用する再建方針ながら、新調復元品と替えることになった当初の水煙・相輪の調査成果も、注目される。

 従来国宝建造物の修理報告は大部な専門的報告書であったが、本書はその成果を平易に市民向けに語っており、貴重な文化財を親しみやすくしてくれる。(朝日新聞出版、2970円)

読売新聞
2021年5月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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