【聞きたい。】川瀬七緒さん 『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』

インタビュー

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ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介

『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』

著者
川瀬 七緒 [著]
出版社
講談社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784065224533
発売日
2021/02/19
価格
1,705円(税込)

書籍情報:openBD

【聞きたい。】川瀬七緒さん 『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』

[文] 海老沢類(産経新聞社)


川瀬七緒さん

 ■仕事経験生かした勝負作

 衣服の細部から未解決事件の真相に迫る。そんなユニークな探偵が生まれた。服飾デザイナーとして働いていた著者の経験と知識をぶつけた勝負作だ。

 「ミステリーと服飾の相性はいい、と常々思っていたんです。読者の興味をひき、しかも納得させられるものをと考え抜きました」

 主人公は東京・高円寺で小さな仕立屋を営む桐ヶ谷京介、34歳。美術解剖学と服飾の知識が豊かで、服のしわ一つでその人の体の異変が分かる桐ヶ谷は、テレビの公開捜査番組に映された奇抜な柄のワンピースに目を留める。団地の一室で遺体となって発見された10代前半の少女の遺留品。有力情報はなく、少女の身元すら分からないまま事件から10年が過ぎていた。

 生地や柄、縫製、糸、ボタン、そして服に付いた不思議な毛玉…。ビンテージショップで働く水森小春の助けも借りて、桐ヶ谷はワンピースの細部から、少女の実像に近づいていく。

 「警察も科学捜査で遺留品を調べるけれど、服のしわなどの見た目は意外に見過ごされがちだと思う。デザイナーやパタンナーは人体構造を考えて洋服をつくるから、解剖学的な知識を持っている。服から見えてくる人の骨格や肉付き、くせなどの情報は捜査の役にも立つはずです」

 “素人探偵”の推理を次第に警察も無視できなくなる。謎に包まれた少女の周囲からは貧困の影も浮かんでくる。「日本は先進国だといわれるけれど、無戸籍だったり、学校にも通えなかったりする子供が今もいる。格差はむしろ際立ってきている。そんなことも書きたかった」

 デビューから10年。本作はシリーズ化が決定し、すでに次作に取りかかっている。「服飾が何か重要なことを“語る”。そんなネタは限りなくあると思います」。息の長いシリーズになりそうだ。(講談社・1705円)

 海老沢類

   ◇

【プロフィル】川瀬七緒

 かわせ・ななお 昭和45年、福島県生まれ。文化服装学院卒。子供服デザイナーの傍ら執筆した『よろずのことに気をつけよ』で平成23年に江戸川乱歩賞を受けてデビュー。「法医昆虫学捜査官」シリーズなど著書多数。

産経新聞
2021年5月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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