【児童書】『うさぎとハリネズミ きょうもいいひ』はらまさかず文、石川えりこ絵

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

うさぎとハリネズミ きょうも いいひ

『うさぎとハリネズミ きょうも いいひ』

著者
はら まさかず [著]/石川 えりこ [イラスト]
出版社
ひだまり舎
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784909749079
発売日
2021/04/20
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【児童書】『うさぎとハリネズミ きょうもいいひ』はらまさかず文、石川えりこ絵

[レビュアー] 三保谷浩輝

 ■深呼吸するように

 すりばちのようにくぼんだ「すりばち森」で出会ったうさぎとハリネズミ。ハリネズミが自分の「ちくちく」のハリは「ぬけた後もやくにたつんだ」といえば、「ぼくの毛もやくにたつよ」とうさぎが「ふわふわ」の毛を見せる。そこでふたりはひだまり広場のフリーマーケットにそれぞれハリと毛のお店を開き…(「ちくちくとふわふわ」)。

 なんだかついていない一日だったハリネズミ。夜、ベッドに入ってもイライラは収まらず、うさぎに電話で「あしたがいい一日になるように、なにかできることってあるかなあ」と聞く(「あしたのために」)。

 のんびり屋で前向きなうさぎと、やさしいけどちょっぴり繊細なハリネズミ、そして、すりばち森の動物たちが紡ぐ、あたたかい物語4話を収録。

 印象的な色使いの表紙に対し、ほぼモノクロで味わいのある絵にも引き込まれる。ゆったりとしながら確かな手応えも感じられる世界。この窮屈な日々をリセットするように深呼吸させてくれる一冊だ。(はらまさかず文、石川えりこ絵/ひだまり舎・1650円)

 三保谷浩輝

産経新聞
2021年5月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク