政治家の責任 老川祥一著

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政治家の責任

『政治家の責任』

著者
老川 祥一 [著]
出版社
藤原書店
ジャンル
社会科学/政治-含む国防軍事
ISBN
9784865783049
発売日
2021/03/26
価格
2,860円(税込)

書籍情報:openBD

政治家の責任 老川祥一著

[レビュアー] 加藤聖文(歴史学者・国文学研究資料館准教授)

 近年の政治は劣化している。この点は政権との距離の遠近にかかわらず、大半のジャーナリストの意見が一致するところだ。冷戦構造という大枠があったとはいえ、二大政党による政権交代もなく、金権政治という批判を浴びながらも昭和の政治がなぜか現在よりも健全に見える。そこには政治家も官僚も誰もが多かれ少なかれ持っていた「公」の意識と命を削るほどの激しい権力闘争によって生まれる緊張感があった。そうした現場を政治記者として体感してきた著者は、昨今の政治の劣化ぶりに黙っていられなかった。

 とはいえ、本書で何度も触れているように世界の変革期にあたる現在、小手先の「改革」は焼け石に水。日本政治も価値観の大転換に迫られている。

 政治に必要なのは緊張感。それが消え失(う)せた今、政治の外から緊張感を与えなければならない。そのツールとして重要なのが著者も重視する公文書。通り一遍の批判でなく、公文書をエビデンスとして使いこなし、いかに論理的かつ建設的な刺激を政治に与えられるか、ジャーナリズムにとってその真価が問われる。(藤原書店、2860円)

読売新聞
2021年5月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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