「南葵音楽文庫案内」 和歌山県教育委員会編

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紀州徳川400年 南葵音楽文庫案内

『紀州徳川400年 南葵音楽文庫案内』

著者
和歌山県教育委員会 [編集]
出版社
中央公論新社
ジャンル
芸術・生活/音楽・舞踊
ISBN
9784120054181
発売日
2021/03/23
価格
3,300円(税込)

書籍情報:openBD

「南葵音楽文庫案内」 和歌山県教育委員会編

[レビュアー] 佐藤信(古代史学者・東京大名誉教授)

 紀州徳川400年記念出版。維新後紀州徳川家15代となった徳川頼倫(よりみち)は、欧米巡察で図書館に感銘、帰国後の1899年東京の侯爵邸に南葵(なんき)文庫を私設した。藩以来の蔵書を一般に公開、展示・講演等も催して草創期図書館を牽引(けんいん)した。

 16代徳川頼貞は英国で音楽を学び、楽譜・音楽書を蒐集(しゅうしゅう)し音楽堂建設を志す。帰国後1918年南葵文庫に南葵楽堂=写真=を設け、音楽会を催し音楽書を公開した。

 関東大震災後、頼倫は図書が壊滅した東京帝大に南葵文庫を寄贈したが、頼貞蒐集の世界的な音楽書は、南葵音楽図書館として存続した。その後閉館したが、戦中・戦後の激動のなかで南葵音楽文庫として保存され、近年縁ある和歌山県寄託となって公開された。

 侯爵家2代の文化事業の足跡を、多くの写真で楽しく紹介する。カバー裏の原寸大のベートーベン自筆楽譜は秀逸。(中央公論新社、3300円)

読売新聞
2021年5月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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