文化交流は人に始まり、人に終わる 加藤幹雄著

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文化交流は人に始まり、人に終わる 私の国際文化会館物語

『文化交流は人に始まり、人に終わる 私の国際文化会館物語』

著者
加藤幹雄 [著]
出版社
新聞通信調査会
ISBN
9784907087180
発売日
2021/03/28
価格
1,980円(税込)

書籍情報:openBD

文化交流は人に始まり、人に終わる 加藤幹雄著

[レビュアー] 国分良成(国際政治学者・前防衛大学校長)

 六本木の国際文化会館は会員となることが、知識人のステイタス・シンボルであった。本書は会館の歴史を通じた戦後の日米文化交流の揺籃(ようらん)期の軌跡である。

 昨年他界した著者の加藤幹雄は、会館の裏方として草創期から近年まで活動全般を切り盛りした国際交流のプロの仕事人だ。

 昭和の知的巨人であるジャーナリストの松本重治とロックフェラー3世が、民間交流の窓口として会館を設置したのが1952年。日本では松本をはじめ新渡戸稲造の流れを汲(く)む知識人らが設立に奔走した。

 松本は施設内で暮らし、宿泊施設も備えた会館に滞在中の有識者と交流する。表題は加藤が尊敬してやまない松本の言葉だ。

 本書では外交官で著名な歴史家でもあるジョージ・ケナン、ノーベル文学賞作家のソール・ベロー、アメリカ研究の大家・高木八尺(やさか)、国際政治学の第一人者・細谷千博などなど、日米の錚々(そうそう)たる有識者たちの会館を通じた活動が蘇(よみがえ)っている。

 今や日米同盟は日本外交の要だが、本書に描かれた戦後の地道な人的交流がその礎を築いたことを忘れてはならない。(新聞通信調査会、1980円)

読売新聞
2021年5月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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