[読売新聞記者が選ぶ]『星落ちて、なお』『自衛隊最高幹部が語る 令和の国防』

レビュー

5
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

星落ちて、なお

『星落ちて、なお』

著者
澤田 瞳子 [著]
出版社
文藝春秋
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784163913650
発売日
2021/05/12
価格
1,925円(税込)

書籍情報:openBD

自衛隊最高幹部が語る令和の国防

『自衛隊最高幹部が語る令和の国防』

著者
岩田 清文 [著]/武居 智久 [著]/尾上 定正 [著]/兼原 信克 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
社会科学/政治-含む国防軍事
ISBN
9784106109010
発売日
2021/04/19
価格
902円(税込)

書籍情報:openBD

[読売新聞記者が選ぶ]『星落ちて、なお』『自衛隊最高幹部が語る 令和の国防』

[レビュアー] 読売新聞

星落ちて、なお 澤田瞳子著

 縦横無尽の筆遣いで画鬼といわれた不世出の絵師・河鍋暁斎。明治22年(1889年)、その死から幕を開ける物語だ。

 父・暁斎に絵を仕込まれてきた、とよ(暁翠)は父の葬儀の日、その才能を受け継ぐ腹違いの兄・周三郎の屈託を知る。画鬼の家に生まれた宿命を負い、彼女は父の画風を守ろうとする。

 狩野派の流れをくむ暁斎直系の絵も、西洋技法を取り入れ日本画が変わってゆく中で旧弊だとそしられる。その衰亡に耐える、とよの姿が凜(りん)として美しく、また悲しい。彼女を支援する商家の主人から、写真家、能楽の笛方へと流転の人生を送った鹿島清兵衛と元芸者の愛にも引かれた。(文芸春秋、1925円)(佐)

自衛隊最高幹部が語る 令和の国防 岩田清文、武居智久、尾上定正、兼原信克著

 最近まで自衛隊や国家安全保障局で責任ある立場にいた4人が、「今そこにある危機」について、タブーなき議論に挑んだ一冊。

 朝鮮半島や台湾の有事に関する分析も興味深いが、あえて第4章「アジアにおける核抑止戦略」を紹介したい。

 ここで問題視されているのは、かつての西ドイツと異なり核戦略の国際的な議論に絡もうとしない日本政府だけではない。核というだけで拒否反応を示し、議論さえ避けてきた私たちの「ミリタリー・リテラシー」も問われているのだ。ビーンボール(危険球)とみるか、真摯(しんし)な警鐘と受け取るか。まずは一読を。(新潮新書、902円)(十)

読売新聞
2021年5月30日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

  • このエントリーをはてなブックマークに追加