天体観測に魅せられた人たち エミリー・レヴェック著

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天体観測に魅せられた人たち

『天体観測に魅せられた人たち』

著者
エミリー・レヴェック [著]/川添 節子 [訳]
出版社
原書房
ジャンル
文学/外国文学、その他
ISBN
9784562059034
発売日
2021/03/08
価格
3,080円(税込)

書籍情報:openBD

天体観測に魅せられた人たち エミリー・レヴェック著

[レビュアー] 長田育恵(劇作家)

 人類の宇宙への知的好奇心は限りない。今日も地球上の各地で観測者たちが宇宙を見つめる。本書は気鋭の女性天文学者が112人の同業者たちに観測にまつわる物語をインタビューして生まれた一冊だ。天文台での意外な苦労話や観測天文学の過去から未来まで、いきいきと伝えてくれる。

 各地の特色ある天文台と様々な望遠鏡が多彩なエピソードを交えて紹介される。人里離れた高地に建設される天文台では一夜の貴重な観測権のために地球を半周して移動したのに、強風に見舞われ、サソリに襲われることも。それでも観測者たちは、笑ってテーブルを囲み、眠気防止の音楽を用意して、日没を静かな興奮と共に待っている。

 ガラス乾板に宇宙を焼きつけた時代は遠ざかり、現在は巨大なロボット望遠鏡が膨大なデータを集める完全自動化の時代に移りつつある。けれども、やはり観測者の勘が土壇場で働き、観測最後の数分間で咄嗟(とっさ)にとらえた星から大発見が生まれることもあるという。

 科学の発展と観測者たちの地球規模の連携から、宇宙の深淵(しんえん)に今日もまた一歩近づいていく。川添節子訳。(原書房、3080円)

読売新聞
2021年5月30日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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