『EDDIE JONES わが人生とラグビー』エディー・ジョーンズ著 高橋功一訳 尽きぬコーチングへの情熱

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エディー・ジョーンズ わが人生とラグビー

『エディー・ジョーンズ わが人生とラグビー』

著者
エディー・ジョーンズ [著]/髙橋 功一 [訳]
出版社
ダイヤモンド社
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784478109946
発売日
2021/04/01
価格
2,200円(税込)

書籍情報:openBD

『EDDIE JONES わが人生とラグビー』エディー・ジョーンズ著 高橋功一訳 尽きぬコーチングへの情熱

[レビュアー] 橋本謙太郎(産経新聞運動部編集委員)

 2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)のもと、初のベスト8進出を果たした日本代表だが、日本代表を変革し、その礎を築いたのは前HCで現イングランド代表HCのエディー・ジョーンズ氏だ。本書は彼の半生を記した自叙伝である。

 03年W杯では母国のオーストラリア代表HCとして準優勝し、15年大会では日本代表を率いて3勝を挙げ、19年大会ではイングランド初の外国人指揮官として準優勝。世界屈指の指導者の足跡が情感たっぷりに描かれている。伝わってくるのは、勝利を求める強い心とコーチングへの情熱だ。

 日系人の母と日本人の妻を持ち、東海大でプロ指導者の道を歩み始めるなど日本との関係は深い。「『全力を尽くせば負けても良し』とする、古くから根付いた考え方があった」日本ラグビーの歴史を変えるべく、小柄だが俊敏な動きができる日本選手に適した戦い方を構築し、その実践のために猛練習を課した。その努力は15年W杯で優勝候補の南アフリカを破る歴史的大金星として結実した。

 勝つためにはあらゆる策を講じる。より良いコーチング法を求め、サッカー界の名将、ジョゼップ・グアルディオラ氏はじめ、他競技の指導者にも積極的に会いに行く。日本代表のリーダー候補を見つけるため、隠しカメラを設置した部屋にミーティングと称して選手を集め、コーチ陣は行かずに選手の反応を観察したことも本書で明かされている。

 メディアを通じた〝場外乱闘〟もこの人の魅力だ。イングランド代表HCとしてニュージーランド代表オールブラックスと準決勝で対戦することになった19年W杯。王者相手にいかに優位に立つか。「オールブラックスは間違いなくプレッシャーを感じている。そのプレッシャーを意識させるように仕向けなければならない」。会見を利用した仕掛けは読み応えがある。

 次のW杯は23年。1次リーグで日本はイングランドと対戦する。グラウンドの内外でどんな攻撃をみせるのか。名コーチの頭の中でプランは着々と出来上がっているであろうことは想像できる。(ダイヤモンド社・2200円)

評・橋本謙太郎(運動部編集委員)

産経新聞
2021年6月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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