習慣が変わる。自発的に動けるようになる「行動科学マネジメント」実践のコツ

レビュー

1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

いつまでたっても動けないあなたが「すぐやる人」に変わる100の言葉

『いつまでたっても動けないあなたが「すぐやる人」に変わる100の言葉』

著者
石田 淳 [著]
出版社
永岡書店
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784522438992
発売日
2021/06/10
価格
1,320円(税込)

書籍情報:openBD

習慣が変わる。自発的に動けるようになる「行動科学マネジメント」実践のコツ

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

コロナ禍によって大きく変わったことはたしかにあるけれど、大半は「以前から変わると分かっていたこと」や「いまも昔も変わらないこと」。

いつまでたっても動けないあなたが「すぐやる人」に変わる100の言葉』(石田 淳 著、永岡書店)の著者は、そう指摘しています。

「世の中がひっくり返ってしまった」と思えば、それに合わせてまったく違う自分に生まれ変わらなくてはいけないような気持ちに襲われるでしょう。

でも、実際には、そんな必要はありません。

変えるべきなのは、「内面」ではなく「行動」です。今までの自分を否定して、「まったく違う自分に変わる」のではなく、「今までの自分を生かしながら、上手に変わっていく」ことができれば大丈夫です。そのために私は、あなたに「行動科学マネジメント」という科学的手法を活用してほしいのです。(17ページより)

行動科学マネジメントとは、アメリカのビジネス界や教育界で成果を挙げている行動分析学・行動心理学をもとにしたマネジメント手法を、日本に最適な形にアレンジしたメソッド

そこでは「意志の力だけでは、人は始められない、続けられない、成果を出せない」を大前提とし、科学的な裏づけのある行動概念・行動原則に基づいて、「人が自然と行動したくなるように工夫すること」「人が成果を出しやすいように工夫すること」が重要だと考えているのだそうです。

そのような考え方を軸とした本書のなかから、きょうは第3章「職場の『コミュニケーション』がうまくいく技術」に焦点を当ててみたいと思います。

当たり前なことばほど具体的に表現しよう

行動科学マネジメントでは、「MORS(モアーズ)の法則」(「具体性の法則」とも呼ばれる)を重要視するのだといいます。

(1)Measured/計測できる=数値化できる」

(2)Observable/観察できる=誰が見てもどんな行動をしているかわかる」

(3)Reliable/信頼できる=どんな人が見ても、同じ行動だと認識できる」

(4)Specific/明確化されている=何をどうするか明らかである」から成り立っています。

(85ページより)

これらを押さえ、具体的に指示することが大切だというのです。

「しっかりやる」「がんばる」「全力で」「精一杯」「よく見て」「関係性を深める」「意識する」「注意する」「気をつける」「整理整頓する」などは人によって解釈が異なる曖昧なことばなので、こうしたことを盛り込んでしまうと、「指示」とはいえなくなってしまうのです。(84ページより)

第三者に伝える意識で指示を出そう

もしも部下に対して「提案書をしっかりつくるように」と伝えたとしたら、「しっかり」という曖昧なことばの解釈の違いにより、こちらが期待していた提案書と部下のつくったそれとの間にはズレが生じる可能性があります。

こうしたズレを防ぐために、「MORSの法則」が有効だということ。

例えば、

「○○株式会社の課長の××さんに明日の朝9時にメール送信するので、今日の午後2時までに一度私に見せてほしい。『導入メリット』『コスト削減の試算』『他社比較』の3つを盛り込んで、A4サイズ3枚以内に文章化してくれないかな」

といった感じでしょうか。(87ページより)

実際に伝える前に「A、B、Cの3人の部下に伝えた場合、3人が全員同じ行動をしてくれるだろうか?」という視点で、指示内容を見なおしてみるといいそうです。(86ページより)

できない原因は、やり方を知らないから

うまくできない部下に対して、「やる気が足りないからだ」などと叱ることは、百害あって一利なしだと著者は断言しています。

理由は明快で、問題解決(=できない部下ができるようになる)にはまったくつながらず、上司と部下との信頼関係も崩れてしまうから。

行動科学マネジメントでは「できない原因」は「やり方を知らない」か「続け方を知らない」かのどちらかであると考えています。

そして、「教える」とは、「相手を観察し、どの段階でつまずいているかを把握し、具体的な行動のしかたを伝える」行為のことを指します。(97ページより)

大切なのは、行動に目を向けて修正してあげること。

したがって、まずは「どこでうまくできて、どこからうまくいかないのか?」を部下と一緒に考えることから始めるべきだといいます。(96ページより)

「やる意味」が伝わらないと行動自発率は低下する

「やる意味」を伝えないまま部下に仕事を頼むべきではなく、「とにかく」「いいから」「とりあえず」などの曖昧なことばはNG

人間には目的や意義がわからない行動を避ける特性があるため、部下の行動自発率が下がり、優秀な部下ほど嫌気がさしてしまうというのがその理由です。

「業務の意味」は、(1)「目的(どんなゴールを目指してほしいのか?)」、(2)「背景(やるに至った経緯)」、(3)「意義(どんな好影響があるか?)」の3つを押さえて伝えるのが鉄則です。(99ページより)

「議事録をまとめておいて」ではなく、

「きょうの会議の決定事項を参加者で共有(目的)して、プロジェクトを成功させたい(意義)んだ。可視化しないとみんなすぐに忘れてしまう(背景)から、箇条書きにしてメーリングリストに送ってもらえないかな」というように、「目的、背景、意義」を明確に伝える必要があるということです。(98ページより)

著者が所長を務める「一般社団法人行動科学マネジメント研究所」では、さまざまな企業で社員研修を行ったり、個人向けにセルフマネジメントセミナーを開催し、多くのビジネスパーソンの「成果の出る行動を習慣化する」サポートをしてきたのだそうです。

そうした実績に基づいて、自然と行動したくなる「50の技術」と「50のことば」を掲載した本書のなかから「やれそうだ」と感じたものを少しずつ取り入れていけば、日常生活が少しずつ、しかし確実に変化していくかもしれません。

Source: 永岡書店

メディアジーン lifehacker
2021年6月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • このエントリーをはてなブックマークに追加