自分の脳をうまくコントロールして、生きづらさを解消する方法

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「優しすぎて損ばかり」がなくなる感情脳の鍛え方

『「優しすぎて損ばかり」がなくなる感情脳の鍛え方』

著者
加藤俊徳 [著]
出版社
すばる舎
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784799109311
発売日
2021/06/17
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

自分の脳をうまくコントロールして、生きづらさを解消する方法

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

つい周りをうかがってしまうとか、いつもグズグズ迷って行動できないとか、どうでもいいことに反発してしまうとか、肝心なときにどっちつかずの態度をとって、あとで後悔してしまうとか。

「優しすぎて損ばかり」がなくなる感情脳の鍛え方』(加藤俊徳 著、すばる舎)の著者によれば、それらは脳がつくり出している「自分がどうしたいのか、自分の気持ちがわからない」状態のときに起こりやすい現象。

自分がどうしたいのかわからないと、自分を適切にコントロールできず、現実世界でうまくいかないことが多くなってしまいます。

この生きづらさを、「脳」を鍛えることで解消していくのが本書の目的です。(「はじめに」より)

著者は「脳番地」の提唱者。ご存知のように脳番地とは、脳のどの部分がどんな働きをしているのか、機能ごとに名前をつけたものです。

なかでも私たちの行動にとくに影響が強いのが、「思考系脳番地」「視覚系脳番地」「聴覚系脳番地」「理解系脳番地」「伝達系脳番地」「運動系脳番地」「記憶系脳番地」「感情系脳番地」の8つ。

本書では「感情系脳番地」を中心として、“自分の気持ちの育て方”を解説しているのだそうです。

そんな本書のなかから、きょうは第5章「主体性を取り戻すための生活習慣」に焦点を当ててみたいと思います。ポイントは、“新しい習慣が脳を活性化させる”ということです。

気分転換のレパートリーをたくさん用意する

オフィスなどで集中できないときは、いまやっていることと違う行動を挟むとリフレッシュしやすいもの。そこで、気分転換のレパートリーを増やしていくことを著者は勧めています。

1回休んでON/OFFをつけると集中力を取り戻しやすくなるようで、気分転換の行動としては次のようなことが考えられるそうです。

・トイレに行く

・コーヒーを飲む

・屈伸運動をする

・ラジオ体操をする

・自分の指輪など、気分が上がるものを見る

・途中まで読んでいた本を1行読む

・ノートのTo doリストを確認する

(191ページより)

気分転換の行動の目的は、連続した状態のなかに、違う行動を取り入れて注意を移転させること。事前にこうした“注意をコントロールするためのリスト”をつくっておき、すぐできるようにしておくのがベスト。

「集中できなくなったらこれをする」とパターンを決めておくことで、脳のスイッチが入りやすくなるというのです。

いまやっていることと違う行動を挟むとリフレッシュできるのは、それまで使っていた脳番地から別の脳番地へ働きが移転するから。著者はこれを脳番地シフトと呼んでいます。

脳の運動系脳番地は、他の脳番地と密接につながっているもの。そして行動を変えることで、五感を通じて新たな刺激がそれぞれの脳番地にインプットされるのだそうです。

もちろん五感は感情系脳番地にもつながるので、短い時間でも椅子から立ち上がり、窓を開けたり軽いストレッチをするだけで脳番地シフトが起こり気分転換することが可能。

五感、運動系、感情系の3つは切っても切れない関係なので、行動を変えれば五感からの新しい情報によって脳の働きも変わるというわけです。(190ページより)

身体を動かして感覚移転を試みる

ストレス状態のときは、身体感覚過敏になることがあります。身体の普通の働きに過敏になり、不安になるからです。

心臓がドキドキしたり、おなかで腸が動くのがわかったり、のどが詰まっているように感じたり、手がしびれる感じがするなどというようなことは、体調によって身体にときどき起こっているもの。

しかし、そこに強く注意が向いてしまうと、感情系脳番地の扁桃体が興奮し、すごく息苦しく感じたり、気持ち悪くなったり、このまま倒れるかもしれないとか、死ぬんじゃないかという不安が急にわき上がってきたりもします。

そして自分が気にしている部分に対応する脳の部位が活発に働き、ドキドキがおさまらなかったり、貧血状態になるなど偏りができてしまう。これがひどくなった状態がパニック障害だそうです。

自分の身体のちょっとした変化にも神経質になる人は、ストレッチをしてみたり、肩を回したり、身体を動かすようにしてみましょう。

身体を動かすと、脳の運動系脳番地が、筋肉に動くように指令を出しますから、意に反して心臓がバクバクするなど過剰に反応していた感覚から、身体を動かす感覚へ移転させることができます。(194ページより)

また、身体のどこかがかゆくて気になる場合にはウォーキングするのがいいそう。

たとえば腕がかゆかったとしても、歩いているうちに運動系が優位になり、移動することで周囲の景色が変わったりと脳に別の刺激が加わるのです。そのため注意が分散し、かゆいことに意識が向きにくくなるということ。

身体のどこかが痛いときも、両手を使ってなにかをしている間は、体感が気になりにくくなるため痛みは薄れるもの。あやとりをしたり、楽器を弾いたり、料理をつくったりしてもいいのだとか。

とくに指先を注意深く動かすと、脳が刺激されて脳全体を効率よく働かせやすくなるということです。(193ページより)

気持ちに形はありませんが、気持ちを生み出す脳には実体があります。したがって脳を「自分の気持ちがわかる」ように鍛えることで、生き方はガラリと変わるわけです。生きづらさを緩和させるために、本書を参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: すばる舎

メディアジーン lifehacker
2021年6月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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