SDGsは他人事じゃない。いま知っておくべき脱炭素「エネルギー」基礎知識

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脱炭素時代を生き抜くための「エネルギー」入門

『脱炭素時代を生き抜くための「エネルギー」入門』

著者
齋藤勝裕 [著]
出版社
実務教育出版
ISBN
9784788908260
発売日
2021/06/01
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

SDGsは他人事じゃない。いま知っておくべき脱炭素「エネルギー」基礎知識

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

昨今、SDGs(エス・ディー・ジーズ)ということばを目にする機会が増えました。Sustainable Development Goals、「持続可能な開発目標」の略。

脱炭素時代を生き抜くための「エネルギー」入門』(齋藤勝裕 著、実務教育出版)の冒頭でも、このことについて触れられています。

2000年に国連のサミットで採択された「MDGs(エムディージーズ/ミレニアム開発目標)」が2015年に達成期限を迎えたことを受け、それに代わる新たな世界の目標として2015年に定められたのです。

その名のとおりゴール(目標)を表すもので、17個のグローバル目標と、それらに10個ずつ程度のターゲット(達成基準)を組み合わせた全169項目の目標からなる、全世界的な努力目標の集大成。17の目標はどんなものなのか、確認してみましょう。

(1) 貧困をなくす……「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」

(2) 飢餓をゼロに……「持続可能な農業を促進する」

(3) 人々に保健と福祉を……「すべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」

(4) 質の高い教育をみんなに……「公正な質の高い教育を提供する」

(5) ジェンダー平等を実現しよう……「女性、および女児の能力強化を行なう」

(6) 安全な水とトイレを世界中に……「水と衛生の管理を確保する」

(7) エネルギーをみんなに、そしてクリーンに……「安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」

(8) 働きがいも経済成長も……「人間らしい雇用を促進する」

(9) 産業と技術革新の基盤をつくろう……「持続可能な産業化を促進する」

(10) 人や国の不平等をなくそう……「国内および各国の不平等を是正する」

(11) 住み続けられる街づくりを……「持続可能な年を実現する」

(12) つくる責任、つかう責任……「持続可能な生産消費形態を確保する」

(13) 気候変動に具体的な対策を……「気候変動およびその影響を軽減する」

(14) 海の豊かさを守ろう……「海洋・海洋資源を保全する」

(15) 陸の豊かさも守ろう……「陸域生態系を保護・回復する」

(16) 平和と公正をすべての人に……「人々に司法へのアクセスを提供する」

(17) パートナーシップで目標を達成しよう……「グローバルなパートナーシップを活性化する」

(「プロローグ 現代社会は『エネルギー』のおかげで成り立っている」より)

そして本書は、(7)「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」に関連したエネルギー問題に焦点を当てているわけです。そもそもエネルギーとはなんなのでしょうか?

エネルギーは「いろいろな姿・形」をとる

エネルギー:仕事をする能力のこと。19世紀になってから、エネルギーの概念が確立された。(22ページより)

現代社会は、エネルギーに頼りきっています。たとえば自動車、電車、船舶、飛行機、エレベーター、電動車椅子など、すべての移動手段がエネルギーで動いているわけです。もちろん、ご飯を炊くのにも、パソコンを起動させるためにもエネルギーは欠かせません。

そればかりか、人間を含めたすべての生物はエネルギーの上に生命活動を行なっています。花が咲くのも、チョウが飛ぶのも、風が吹くのも、水が流れるのも、太陽が輝き星が瞬くのも、すべてはエネルギーのおかげだということ。(22ページより)

エネルギーとは?

そんなエネルギーは、熱や光の「もとになる力」。そして熱や光とは、エネルギーが変貌したもの。熱や光がなければ、植物や動物は生活することができず、機械も仕事をすることができません。つまりエネルギーは「仕事のもと」だということ。

ちなみに人類が仕事やエネルギーを定量的に考えるようになったのは、産業革命のころ。蒸気機関が発明され、「仕事量を馬の仕事量で計算しよう」というわかりやすい発想から、馬力」ということばが生まれました。

蒸気機関は馬車のように重い荷物を運ぶことが可能。しかし、馬が餌を食べなければ働かないのと同じように、蒸気機関を動かすためには石炭を燃やしてボイラーの水を加熱し、水蒸気をつくる必要があります。

つまり蒸気機関が行う仕事の原動力は、「石炭を燃やすこと」だというわけです。(23ページより)

エネルギーをつくる、いろいろな手段

しかし、水蒸気をつくるだけなら、他にも手段はあります。たとえば凸レンズで集めた光をガラス板の上の水滴に集中させれば、水滴は蒸発して水蒸気になります。

つまり蒸気機関の仕事は、物質を燃やして得た熱や、太陽から来た光によって行われているということ。

これは「熱」や「光」が「仕事のもと」、つまりエネルギーであることを示しています。

このように、日常世界ではエネルギーは熱や光という、目で見、肌で感じることのできる形に変貌して出現しているのです。

このような「エネルギー」の“顔”には多くの種類がありますが、代表選手は電気、電力です。現代社会で最も使い勝手のよいエネルギーは電気エネルギーです。

スイッチ一つで入断(オン/オフ)が切り替えられます。昔のように、火打石を打つ必要はありません。(24ページより)

とはいえ静電気や雷を除けば、電気エネルギーそのものは自然界にほとんど存在していません。実際には電子エネルギー、結合エネルギーなどの形で原子、分子のなかには膨大な量が内蔵されているものの、人類がそれを理解し、自由に使えるようになるまでには相応の時間がかかったわけです。

しかし現在では、電気エネルギーは他のエネルギーを変化、改質してつくられます。火力発電によって熱からつくったり、太陽電池によって光からつくったり、風の力でつくったりするということ。

このようにエネルギーはいろいろな形で現れるわけですが、かといって「エネルギー」そのものとして現れていることはありません。

だからこそ、改めて「エネルギーってなに?」と聞かれると返答に困ってしまうことになるのです。そこで著者は次のように記しています。

熱、光はもちろん、電力、風力、水力など、私たちが一般に「力」と考えるものの最大公約数、共通項がエネルギーだと考えると、スッキリ理解できるのではないでしょうか。(23〜24ページより)

たしかにそう考えれば、難しく感じてしまいがちなエネルギーは身近なものとして感じられるかもしれません。(23ページより)

以後の章では各エネルギーについて、詳細かつ簡潔な解説がなされています。「SDGs達成のため、自分自身になにができるのか」を考えるためにも、ぜひ読んでおきたい一冊です。

Source: 実務教育出版

メディアジーン lifehacker
2021年6月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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