平成8年5月から半年にわたり、イタリアやハワイなど世界を巡った旅エッセーの初の文庫化。
スペインでガウディの建築に感動し、フランスでは大好きな「ピエール・ラニエ」の時計を探しまわる。著者の豊かな感性が垣間見える。
その一方、独特の脱力感と冷めた目線は旅先でも健在だ。アメリカでのほろ馬車ツアーは「不可解な時間」と感じる。ハワイで海に入るも、何もすることがないと気づく。
素直で率直な著者の視点で見た異国の風景は魅力的だ。旅の楽しさを改めて思い出させてくれる。(さくらももこ著、集英社文庫・550円)
-
2021年6月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです