【聞きたい。】前田晃平さん 『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!』 妻を孤軍奮闘させてはならぬ

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【聞きたい。】前田晃平さん 『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!』 妻を孤軍奮闘させてはならぬ

[文] 篠原那美(産経新聞社)

著者は、親子を取り巻く社会課題解決に取り組む「認定NPO法人フローレンス」(本部・東京)に勤める職員。一昨年、長女が生まれた。そのときに2カ月の育児休業を取得して気づいた男性の家庭進出の重要性を作品投稿サイト「note(ノート)」で発信し、一冊の本にまとめた。

「私自身は、家事育児の分担をめぐり妻とケンカが絶えない、ごく普通の父親です。だからこそ、当事者の等身大の思いを伝えられると思いました」

例えば産後間もない時期の授乳の様子を赤裸々につづる。乳腺炎の激痛で苦しむ妻。お乳を飲みたいのにうまく飲めない娘。泣き声が響くなか、見かねて娘の頭を支えると、授乳が順調にいったことがあった。

「そのとき、妻は涙を流して感謝してくれました。正直いって当初は、育休の間に自分のための読書をしようなんて思ってもいたんですが、認識がガラッと変わりました。子育てという戦場で、妻を孤軍奮闘させてはいけないんだと」

ただ今の日本では、全ての父親が憂いなく育休を取得できるわけではない。出世が遅れる、給料が下がる…。父親自身が恐れを抱き、快く思わない上司もいる。前田さんは、そんな男性たちにも理解してもらえるように、育休の必要性を客観的に裏付けるデータを数多く盛り込んだ。新卒男性社員の約8割が育休取得を希望しているという調査結果もある。

折しも先月、父親が育児休業を取りやすくする改正育児・介護休業法が国会で成立したばかり。子供が誕生した直後に取得できる〝男性版産休〟が目玉で、企業には、男女関係なく従業員に対し、育休取得を働き掛ける義務が課される。従業員千人以上の大企業は、男性育休取得率を公表しなければならなくなる。

こうした変化に期待を寄せる。「子育ては、キャリアの足を引っ張るものではない。人生を豊かにするものと考えてもらえたら」(光文社・1540円)

篠原那美

   ◇

【プロフィル】前田晃平

まえだ・こうへい 昭和58年、東京都出身。リクルートホールディングスを経て、認定NPO法人フローレンスで事業開発に従事。

産経新聞
2021年7月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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