『論語入門 心の安らぎに』加地伸行著
[レビュアー] 産経新聞社
日本、中国、韓国など東北アジアの人々にとって「儒(じゅ)」の教えは、いまなお社会規範や価値観として心の奥底に根付いている。ところが『論語』となると、現代の日本人にはもはや近い存在とは言い難い。そのポイントを、中国哲学の泰斗である著者が初心者にも分かりやすく解説した。
例えば、『論語』にたびたび対で出てくる「君子」と「小人」の違いは道徳性のあるなし。「巧言令色(こうげんれいしょく)」や「朝令暮改(ちょうれいぼかい)」も本来はネガティブな意味ではなかった。
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