自律神経を整えるためにやっておきたい朝の2つの習慣

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結局、自律神経がすべて解決してくれる

『結局、自律神経がすべて解決してくれる』

著者
小林弘幸 [著]
出版社
アスコム
ISBN
9784776211600
発売日
2021/07/17
価格
1,650円(税込)

自律神経を整えるためにやっておきたい朝の2つの習慣

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

順天堂大学医学部教授である『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(小林弘幸 著、アスコム)の著者が「自律神経」に関する研究を始めたのは、いまからちょうど20年前のこと。

心身の不調が突然降りかかったことがきっかけだったといいますが、当時、自律神経について正しい知識を持っている人は非常に少なかったそうです。

しかしいまでは、中学生に多い「起立性調節障害」、更年期障害やがんの発症など、多くのことが自律神経と関係していることが明らかになっています。

自律神経は、若年層から中高年層まで、幅広い世代の方々が悩まされている不調や病気に強く影響しています。

だからこそ、世代を問わず、「自律神経が喜ぶ生活」を送っていくことが、とても大切なのです。(「はじめに」より)

ところが自律神経は、ちょっとしたことで驚くほど簡単に乱れてしまうものでもあります。たとえば怒るだけで交感神経は急上昇し、ゆっくり深呼吸をすれば副交感神経がぐんと高まるのだとか。

そんな自律神経にとってベストなのは、交感神経も副交感神経も同じレベルで、なおかつ高いレベルをキープしている状態。どちらか一方に傾き続けていると、不調や病気への入り口になるということです。

大切なのは、自律神経を乱さないことではなく、「たとえ乱れても、整えられる方法」を知っておくこと。そこで本書では、著者の研究成果や、患者さんと接するなかで得た知識、自律神経の最新研究や情報を公開しているわけです。

第4章「自律神経を整える生活習慣」のなかから、2つをピックアップしてみましょう。

朝日を浴びて自律神経を元気にしよう

自律神経を整えるためには、どのような生活をすればいいのでしょうか?

こういった質問に対し、著者はおもに「睡眠」「食事」「メンタル面」での考え方を中心にアドバイスしているそうです。

睡眠に関していえば、自律神経を整えるための基本は「早寝早起き」。「暗くなったら眠り、明るくなったら光を浴びて起きる」ということは、古くからずっと続いてきた“ごく自然な生活のリズム”だということです。

逆にいえば、照明ができて夜もスムーズに活動できるようになったのは、長い歴史を振り返ればごく最近のこと。

そう考えると、人間本来の自律神経が、社会や技術の「急激な変化」に戸惑っていたとしてもまったく不思議ではないわけです。

起床のもっとも好ましい形は、たっぷりの朝日を浴びて、自然に目が覚めることです。自律神経は、朝日を浴びた瞬間から活性化します。

もちろん、朝日を浴びなくても起きることは可能ですが、言うならば、起きたことは起きたけれど、なかなかスイッチが入らずだらだらしている状態が続きます。(208ページより)

でも、できることなら朝日を味方につけて心地よく起床したいもの。とはいえ現代のほとんどの寝室には、カーテンが引かれているはずです。そこで寝る直前、照明を消したあとにカーテンを開けておくと効果的。もしくは、光を通すレースなどのカーテンだけにしておいてもいいそうです。

よく眠ることが基本なので、光を避けて深い睡眠が取れるようにすべきだということ。(206ページより)

1日3食をきちんととろう

食事のとり方やタイミングも、自律神経に影響するといいます。しかし、そもそも私たちはなぜ1日3食なのでしょうか? なかには「1日2食派」「1日1食派」のかたもいらっしゃるでしょう。

しかし著者は、自律神経を整えるためなら、1日3食が望ましいと主張しています。

と聞くと、「やはり3食しっかり食べて栄養をチャージすることが大切なのか」と思われるかもしれませんが、自律神経のためだけに限ればそうではないようです。

だいいち、消費カロリー以上に摂取してしまえば、当然ながら太ってしまうことになります。そうでなくとも在宅勤務が増えている状況であるだけに、積極的に運動をしていない限り、消費カロリーは下がっている可能性があるわけです。

自律神経にいい「1日3食」とは、「3食しっかり食べましょう」というより、「1日に必要な栄養素を取り入れる際、3回に分けて食べましょう」という意味合いだと理解してください。

自律神経を整えるために大切なのは、腸をつねに、一定の勢いで動かしていることだからです。(215〜216ページより)

具体的には、まず朝食は必ずとるようにするべき。体が目覚める前に腸を刺激しないと、副交感神経が下がりすぎてしまうからです。

そこで大切なのは、本格的な活動を始める前に適度に食べておくこと。そうすれば、副交感神経を適切な水準に上げておくことができるわけです。

時間がないときは、ヨーグルトとバナナがおすすめ

あるいは「長生きみそ汁」の活用もいいそうです。ベースとなる「みそ玉」をつくり、1日1杯、みそ汁をとるという方法で、「長生きみそ玉」の素材は、次の4つ。

(材料/「長生きみそ玉」10個分)

・赤みそ(抗酸化力を高めるメラノイジンが豊富)……80グラム

・白みそ(ストレスを抑えるGABAが豊富)……80グラム

・おろし玉ねぎ(解毒効果の高いアリシン、ケルセチンが豊富)……150グラム

・りんご酢(塩分排出効果の高いカリウムを含む)……大さじ1

(190ページより)

たしかに、みそ玉を使えば手間も省けそう。なお、腸活にいいオクラ、里いも、なめこ、にんじん、ごぼう、さつまいもなどの具を加えれば、腸内環境がバッチリ整うそうです。

空腹になってイライラするのは、自律神経が乱れている状態。逆におなかがいっぱいになると眠くなり、仕事の能率が下がってしまいます。しかし適度な量を一定に食べることで、腸が働き、自律神経が整うということです。(214ページより)

自律神経を知り、整える術を手に入れれば、いま感じている不調や病もきっと遠ざけることができる。著者はそう主張しています。本書を参考にしながら生活習慣を整え、日常をより快適なものにしたいところです。

Source: アスコム

メディアジーン lifehacker
2021年7月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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