『知らなきゃ恥ずかしい!? 日本語ドリル』
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「慮る」はなんと読む? 読み間違いしがちな6つの単語
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
誰かと話しているときや文章を書いているときなどに、「このことば、これでいいんだっけ?」というように戸惑ったり疑問を感じたりすることはあるもの。
『知らなきゃ恥ずかしい! ? 日本語ドリル』(上田まりえ 著、祥伝社黄金文庫)の著者も、ことばの用法や意味、漢字の読み方などについて驚かされたことが何度もあったそうです。
日本テレビにアナウンサーとして入社し、退社後はタレントに転身。現在はタレント、ラジオパーソナリティ、ナレーター、MC、スポーツキャスター、ライターなどとして活動している人物。
2020年7月、TikTokで『上田まりえの日本語教室』と題した日本語に特化した教育コンテンツの投稿を始めました。本書では、これまでに投稿した動画の中から100本を厳選し、クイズ形式にしてまとめています。問題は選択式になっていて、ページをめくると解答と解説が出てきます。(「まえがき」より)
どこからでも読める構成になっているため、一日一語ずつ読んでみるなど自由に活用できそう。そんな本書の1章「その読み方、実は間違いかも!?」のなかから、いくつかをピックアップしてみることにしましょう。
他人事
正しいのはどっち?
① ひとごと
② たにんごと
(17ページより)
「たにんごと」と読む人が多いようですが、正しい読み方は「ひとごと」。
生放送や収録などで他の出演者が「たにんごと」といった場合、著者はさりげなく「たしかに、ひとごとですよねー」というようにフォローするそうです。(17ページより)
続柄
正しいのはどっち?
① ぞくがら
② つづきがら
(23ページより)
役所や会社に提出する書類などで目にすることの多い「続柄」は、親族との関係を示すことば。「世帯主との続柄は長男です」というように使われます。
「ぞくがら」と読んでいる人をよく見かけますが、正しくは「つづきがら」。(23ページより)
月極
正しいのはどっち?
① げっきょく
② つきぎめ
(25ページより)
「げっきょく」と読んでしまいがちですが、正しくは「つきぎめ」。駐車場でよく見かけることからもわかるように、「月額を定めて契約すること」という意味です。(25ページより)
肉汁
正しいのはどっち?
① にくじゅう
② にくじる
(29ページより)
これも「にくじる」と間違えやすいところですが、本来の読み方は「にくじゅう」。
「ニク」は「肉」の音読みなので、続く感じも音読みになるわけです。「墨汁」は「ぼくじゅう」であり「ぼくじる」とは読みませんし、「果汁」も「かじゅう」であって「かじる」とは読みませんよね。(29ページより)
言質
正しいのはどっち?
① げんしつ
② げんち
(57ページより)
「言質」には「後日の証拠となる約束のことば」という意味があり、読み方は「げんち」。「言質をとる」というように使われます。(57ページより)
慮る
正しいのはどっち?
① おもんぱかる
② おもんばかる
(63ページより)
「慮る」は「おもんぱかる」と読み、意味は「よくよく考える」「思いめぐらす」。やはり間違えやすいことばではないでしょうか?(63ページより)
*
話すことや書くことは、コミュニケーションをとるうえで必要不可欠。
だからこそ著者は、本書を「より豊かな人間関係を築くための選択肢を増やすためのツール」として活用してほしいそうです。なにかと役立ちそうなだけに、活用してみてはいかがでしょうか?
Source: 祥伝社黄金文庫