『保身 積水ハウス、クーデターの深層』藤岡雅著

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

『保身 積水ハウス、クーデターの深層』藤岡雅著

[レビュアー] 産経新聞社

東京都内の一等地の土地取引で積水ハウスが約55億円をだまし取られた「地面師」事件。だがその手口は、意外にも巧妙とは程遠かった。詐欺だと気づく機会は何度もあったのに、なぜ危うい取引に突き進み、さらには社内処分をめぐるクーデターまで起きたのか。

「社長案件」「上が止まらないんだよ」…。筋の悪いプロジェクトが忖度(そんたく)で強行されるメカニズムや失敗の責任を取らずに済ませる経営陣の姿は、同社に限った話ではない。社内調査報告書や裁判記録、関係者の証言から、日本の企業統治に潜む普遍的な問題を浮かび上がらせる力作経済ルポ。(角川書店・2090円)

産経新聞
2021年8月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク