「こじらせ美術館」ナカムラクニオ著

レビュー

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こじらせ美術館

『こじらせ美術館』

著者
ナカムラ クニオ [著]
出版社
ホーム社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784834253467
発売日
2021/05/26
価格
1,980円(税込)

書籍情報:openBD

「こじらせ美術館」ナカムラクニオ著

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

 「こじらせる」という言葉には、「物事を面倒にもつれさせてしまう」という意味があるわけだが、「中二病をこじらせてる」「ダイエット熱をこじらせてる」など、話し言葉のなかでライトに使われるようになったのは、いつごろからだろうか。これは「気持ちはわかるが少々はた迷惑で厄介な状態にある誰か」を絶妙なバランスで表す言い回しで、私は耳にするたびに感じ入ってしまう。

 で、本書である。西洋美術界の巨人たち――ゴッホ、ピカソ、エゴン・シーレ、ムンクにダリにマグリット。みんな恋愛、家族、友人、師弟関係などをこじらせて、そこから生じる内面的葛藤を作品にしてきた「こじらせさん」ばっかりですと、愛を込めて紹介する。著者の手になる画家たちの肖像も、温かみのあるタッチと、こじらせちゃってる表情のアンバランス具合がまたチャーミング。タイトルも秀逸です。(ホーム社、1980円)

読売新聞
2021年7月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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