なぞとき深海1万メートル 蒲生俊敬、窪川かおる著

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なぞとき 深海1万メートル 暗黒の「超深海」で起こっていること

『なぞとき 深海1万メートル 暗黒の「超深海」で起こっていること』

著者
蒲生 俊敬 [著]/窪川 かおる [著]
出版社
講談社
ジャンル
自然科学/天文・地学
ISBN
9784065225486
発売日
2021/03/10
価格
1,980円(税込)

書籍情報:openBD

なぞとき深海1万メートル 蒲生俊敬、窪川かおる著

[レビュアー] 仲野徹(生命科学者・大阪大教授)

 世界でいちばん深い海はマリアナ海溝で、1万1000メートル近くと、エベレストの高さよりもはるかに深い。地球は水の惑星と呼ばれるが、その97%は海の水である。なのに、我々は海のことを知らなすぎる。

 海水は表面だけでなく、深層でも流れ、さらに、上下にもかき混ぜられている。また、海底にも温泉があって、その噴出口の周囲で生命が誕生したのではないかと研究が進められている。

 深海に沈んだクジラの死体が30年もかけて生物に食べ尽くされていくというのは驚きだ。世界最深部に達した深海潜水艇は、なんと水深1万メートルあたりでナマコを見つけている。ナマコ、水圧に強すぎないか。

 その潜水艇に乗船していたのは、米国の探検家ヴェスコーヴォである。世界の5大洋の最深部がマリアナ海溝以外未踏であることに気づいたヴェスコーヴォは、その財力で潜水艇を建造し、5大洋最深部すべてへの単独到達という偉業を成し遂げた。さらに、世界7大陸の最高峰登頂にも成功しているとは何たる男だ。

 海洋学だけでなく、深海生物学、そして探検譚(たん)。深海ってこんなに面白い! (講談社、1980円)

読売新聞
2021年7月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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