野球が好きすぎて 東川篤哉著

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野球が好きすぎて

『野球が好きすぎて』

著者
東川 篤哉 [著]
出版社
実業之日本社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784408537818
発売日
2021/05/31
価格
1,760円(税込)

書籍情報:openBD

野球が好きすぎて 東川篤哉著

[レビュアー] 稲野和利(ふるさと財団理事長)

 カープファンである著者は、本書を「連作プロ野球ミステリ」と称する。ミステリ好きのプロ野球ファンにはこたえられない一冊。ミステリ愛好家でなくてもセ・リーグのチームのファンであれば十分に楽しめる。

 熱狂的スワローズファンである警視庁捜査一課の神宮寺勝男警部とその娘で刑事の神宮寺つばめのコンビが担当する殺人事件はいずれも捜査が難航するが、2017年の阿部慎之助通算2000本安打達成や2019年の「パットン冷蔵庫殴打事件」などプロ野球の実際の出来事が解決の鍵を握る。解決に導くのは、神宮球場近くの「ホームラン・バー」に出没する一人のカープ女子だ。つまり本書は一種の安楽椅子探偵ものである。

 (負け試合が怖くて)「試合を見たいけど見ていられないという、その複雑な心理」への理解が解決の糸口となるなど、弱小チーム(どことは言わない)のファンにとって共感性が高い場面もあり、思わず拍手だ。謎解きも面白いが、神宮寺も含めたファン同士の会話や蘊蓄(うんちく)を傾ける様が最高だ。プロ野球中断期間中に楽しみたい。(実業之日本社、1760円)

読売新聞
2021年7月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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