桃山鈴子著「わたしはイモムシ」

レビュー

4
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わたしはイモムシ

『わたしはイモムシ』

著者
桃山 鈴子 [著]
出版社
工作舎
ジャンル
芸術・生活/絵画・彫刻
ISBN
9784875025276
発売日
2021/06/04
価格
4,180円(税込)

書籍情報:openBD

桃山鈴子著「わたしはイモムシ」

[レビュアー] 小川さやか(文化人類学者・立命館大教授)

 木からイモムシが落ちてきたら跳びあがる人でも、本書を開けば、イモムシを愛らしく感じるに違いない。ひょっとすると、著者のようにイモムシに話しかけたり、アケビの蔓(つる)に擬態するトビモンオオエダシャクをみて「忍法隠れ身の術」とつぶやいたりするようになるかもしれない。

 イモムシ画家である著者の一日は、色鮮やかで個性的なイモムシを観察することから始まるという。コーヒーと絵画制作の七つ道具を持ってイモムシたちと過ごす至福の時。我関せずに動くイモムシと過ごす時間、著者は人間社会のわずらわしさから解放され、食草や天敵である鳥、そして雨風や太陽まで、イモムシの環世界を形づくる「とても大きな何か」の欠片(かけら)に触れる体験をするそうだ。

 精巧なイモムシの「展開図」から孵化(ふか)や蛹化(ようか)の姿、山水画まで、本書の美しい絵と添えられたユーモラスな言葉は、たしかに著者の言うとおり、「ロケットに乗らなくても、行ける宇宙」をみせてくれる。(工作舎、4180円)

読売新聞
2021年7月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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