[読売新聞記者が選ぶ]『高地文明』『中国vs.世界』

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高地文明―「もう一つの四大文明」の発見

『高地文明―「もう一つの四大文明」の発見』

著者
山本 紀夫 [著]
出版社
中央公論新社
ジャンル
歴史・地理/外国歴史
ISBN
9784121026477
発売日
2021/06/22
価格
1,155円(税込)

書籍情報:openBD

中国vs.世界

『中国vs.世界』

著者
安田 峰俊 [著]
出版社
PHP研究所
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784569849478
発売日
2021/05/17
価格
1,012円(税込)

書籍情報:openBD

[読売新聞記者が選ぶ]『高地文明』『中国vs.世界』

[レビュアー] 読売新聞

高地文明 山本紀夫著

 文明は大河のほとりで誕生したと言われてきた。だが著者は、標高2000メートルを超える熱帯高地にも、四つの古代文明が生まれたと説く。メキシコ、アンデス、チベット、エチオピアだ。

 文字に残っていない「文明」の成り立ちを巡る考察は、長年現地を歩き、滞在し、見聞きした、肌感覚に富んで読みどころとなっている。民族植物学の専門家だけに、各文明を支えた食料に特に視線を注ぐ。

 メキシコのトウモロコシ、アンデスのジャガイモ、チベットのチンコー(オオムギ)、エチオピアのテフ(イネ科の穀類)が、どう利用されてきたか。独自の考察を交え、荒涼とした高地のイメージを覆す。(中公新書、1155円)(央)

中国vs.世界 安田峰俊著

 政界への浸透工作の発覚や、香港と新疆ウイグル自治区での人権抑圧など、様々な理由から中国に警戒感を抱く国は増えてきた。だが、世界にはそうではない国もある。

 国際的な孤立をきっかけに中国と蜜月関係を築いたセルビア、核開発を契機に「鉄のごとく確固たる友人」となったパキスタン。新型コロナウイルスへの対応で、中国政府への配慮が目立った世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長。その母国エチオピアでの、中国の存在感を示す証言も興味深い。

 第三国を通じて中国を見るという著者の手法は、冷静で抑えた筆致とともに、この本でもさえている。(PHP新書、1012円)(十)

読売新聞
2021年7月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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