[読売新聞記者が選ぶ]『ロシアドイツ人』『後期日中戦争』

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ロシアドイツ人

『ロシアドイツ人』

著者
鈴木 健夫 [著]
出版社
亜紀書房
ジャンル
歴史・地理/外国歴史
ISBN
9784750516806
発売日
2021/03/26
価格
6,160円(税込)

書籍情報:openBD

後期日中戦争 太平洋戦争下の中国戦線

『後期日中戦争 太平洋戦争下の中国戦線』

著者
広中 一成 [著]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
歴史・地理/日本歴史
ISBN
9784040823669
発売日
2021/04/09
価格
1,012円(税込)

書籍情報:openBD

[読売新聞記者が選ぶ]『ロシアドイツ人』『後期日中戦争』

[レビュアー] 読売新聞

ロシアドイツ人 鈴木健夫著

 18世紀後半、ロシアのエカテリーナ2世の移民促進策に応じて、多くのドイツ人がボルガ川流域などに入植した。本書は、少数民族として彼らが歩んだ知られざる苦難の歴史をたどる。

 2度の世界大戦でロシアがドイツと戦火を交えたため、ロシアドイツ人は憎悪と迫害の対象となった。革命後の内戦と大飢饉(ききん)に苦しみ、スターリン体制下で中央アジアやシベリアに移住を強いられ、強制労働で次々に命を落とす。生き延びた者は、新天地を求めて世界各国に散っていく。

 当事者の証言など豊富な資料に基づく記述から、怒りと深い悲しみが伝わり、胸を突く。著者は早稲田大学名誉教授。(亜紀書房、6160円)(石)

後期日中戦争 広中一成著

 1937年に発生した盧溝橋事件をきっかけに、泥沼の戦いとなった日中戦争について、その序盤戦の考察はこれまで詳細に行われてきた。一方で、太平洋戦争と時期の重なる41年12月以降、日本と中国がどのような戦いをしたかについては、それほど知られていなかった。著者はこの時期を日中戦争の「後期」と位置付け、検証を加えている。

 日本軍が大きな被害を出した第二次長沙作戦や、補給が十分ではない中での戦いとなった大陸打通作戦などを通し、中国戦線の実像を描こうとしている。

 劣勢に陥った時に顕在化する昭和陸軍の問題点は、相手が英米でも中国でも、共通するところは多い。(角川新書、1012円)(啓)

読売新聞
2021年6月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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