【聞きたい。】掛谷英紀さん 『学者の暴走』 実態暴き、学問の危機に警鐘

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学者の暴走

『学者の暴走』

著者
掛谷英紀 [著]
出版社
扶桑社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784594088064
発売日
2021/07/02
価格
990円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【聞きたい。】掛谷英紀さん 『学者の暴走』 実態暴き、学問の危機に警鐘

[文] 平沢裕子


掛谷英紀さん

著者は、NHKだけ受信しない装置「イラネッチケー」の開発者としても知られる筑波大准教授。本書では、新型コロナの流行で明らかになった学者の暴走ぶりや、イデオロギーのために事実を曲げる人文社会系学者の実態を暴き、学問の危機に警鐘を鳴らす。

「自分も学者の一人ではあるが、学者を妄信するなと伝えたかった。多くの人は学者は利害と関係なく本当のことを言うと信じているが、学者にも自分の生活がある。嘘(うそ)をついてでも自身の研究や体面を守ろうとする学者は珍しくない」

専門はメディア工学だが、大学時代は生物化学を専攻。新型コロナの起源を追究するため関連論文を100本以上読み、世界の研究者とオンラインで意見交換もしている。こうした活動をするのは、ウイルス研究に不信感があるためだ。新型コロナは中国・武漢の研究所で人工的に作られたものが流出した可能性が指摘されるが、これが事実なら科学者の研究が400万人以上の死をもたらしたことになる。これだけ重要な意味を持つことなのに、当事者であるウイルス学者は起源の追究に消極的で、今も危険な研究を続けているという。

「日本では新型コロナ対策として医師などの科学者が飲食店の時短営業や酒の提供禁止を要請、政府もこれに従った。いまや科学は権力でもあるが、科学者がやっていることは正しいのか。政治家に対するファクトチェックのような仕組みが科学者にも必要ではないか」

本書ではまた、欧米で台頭する「左翼思想」の問題にも言及。子供への性転換手術を正当化したり中絶手術の失敗で生きたまま出てきた胎児は殺してもいいと主張したりと、左翼思想がいかに危険かを具体的な事例で示している。

「特定のイデオロギーに不都合な事実はあまり報道されない。世界で何が起きているかを知り、日本はどういう社会を目指すべきか考えるきっかけにしてもらえれば」(扶桑社・990円)

平沢裕子

   ◇

【プロフィル】掛谷英紀

かけや・ひでき 昭和45年、大阪府生まれ。筑波大システム情報系准教授。著書に『学問とは何か』『学者のウソ』など。

産経新聞
2021年8月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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