『即買いされる技術 キャッチコピーはウリが9割』
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刺さる「ウリ」を見つけ、売れるキャッチコピーをつくるコツ
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
お客様に選ばれる“ウリ”がなければ、商品やサービスは売れない。
コピーライターである『即買いされる技術 キャッチコピーはウリが9割』(弓削徹 著、秀和システム)の著者は、本書の冒頭でそう主張しています。
「ウリが書かれていないから売れない」とか、逆に「正しいウリをキャッチコピーに書いたとたん、売れていなかった商品が売れ出した」という事例はいくらでもあるというのです。
果たしてウリとは、どんなものであるべきなのでしょうか?
ウリとはお客様が買うべき理由であり、それをズバリの強いキーワードで提示しなければなりません。
(中略)
ニッチなビジネスを成立させるものは、あなたが売っている商品やサービスの尖ったウリを見つけ、言葉にして伝えることです。(「はじめに」より)
お客様の欲しい気持ちに刺さるウリを“秒”で伝えなければ負けであり、商品やサービスの尖ったウリをしっかり伝えられれば、売上に困ることはないということ。
だとすれば、「自身の商品」のウリをどうやって見つければいいのかが気になるところです。そして、見つけたウリを、どのようにしてキャッチコピーに仕立てたらいいのかも知っておくべきかもしれません。
そこできょうは第1章「お客様が欲しくなる『セツジツ』を探す」のなかから、「ウリ」の基本的なあり方を解説した部分に焦点を当ててみたいと思います。
「ウリ」とは選ばれる理由のこと
「ウリ」とは、お客様が商品やサービスを買う理由、あるいはお店そのものの強み。マーケティング用語でいえば、USP(ユニーク・セリング・ポジション)だといいます。
ところで、大学でマーケティングの授業をしているという著者は初回に、「マーケティングとはとてもシンプルなものである」「どれほどの理論、フレームワークを積み上げても、結局はこの1行に集約される」という現実について話すそう。
ちなみにマーケティングが身につくその1行とは、次のフレーズ。
誰に、何を、どう売るか(19ページより)
これを考えることさえできればいいというのです。そして、2番目の「何を」の部分こそが、まさにウリにあたるようです。
だとすれば、そのウリをどのようにとらえていけばいいのでしょうか?(18ページより)
FedEx(フェデックス)の事例
重要なポイントは、「ウチはこれが得意だから、あるいはずっとこれにこだわってきたのだから、ウリだろう」とは単純に決められないということ。
このことを感覚的に把握できるように、ここでは「モノを運ぶ」サービスを展開している企業の例が挙げられています。
フェデックスなら「翌日配達」(19ページより)
いうまでもなく、フェデックスは世界的に知られた米国の巨大物流企業で、そのウリは「翌日配達」。フェデックスの創業者は大学の卒業論文に、すでにそのウリを書いていたのだそうです。
当日配達が当たり前になっている現代では考えられないことかもしれませんが、かつては企業が商品を発送しても、相手先にいつ届くかが不透明でした。
そこで彼は、企業が荷物を発送すれば、全米どこでも翌日には届くサービスを立ち上げたいと論じたわけです。
担当の教授はそれを「実現不可能な夢みたいなことを…」と受け止めたため評価はCだったといいますが、大学卒業後の彼はこのビジネスを立ち上げ、見事に「翌日配達」を実現させたわけです。(19ページより)
では、ドミノ・ピザは?
ドミノ・ピザなら「30分以内にアツアツのピザ」(19ページより)
ドミノ・ピザは、やはり米国でモナハン兄弟が立ち上げたピザのデリバリー・サービス。
日本でもすっかりおなじみですが、創業当時はお客様が「夜に放映される映画でも観ながらピザを食べたい」と思って注文しても、映画が終わったころに冷え切ったピザが届くという状況だったといいます。
そこでモナハン兄弟は思い切って、「ご注文をいただいたら、30分以内にアツアツのピザが届きます。遅れたらお代はいただきません!」というウリをアピールしたわけです。
ドミノ・ピザが全米にネットワークを拡大することに成功し、日本など世界中に進出できたのも、この革命的な取り組みのおかげ。
シンプルなコピーによって、「ピザのデリバリーといえば、30分くらいで届くものでしょ」という固定観念を植えつけてしまったわけです。(20ページより)
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たとえばこのように具体的な事例が豊富に盛り込まれているため、ウリを体感的に理解できるはず。
そればかりかウリを発見する考え方や発想の枠組みも解説されているので、商品が売れずに困っているという方の力になってくれそうです。
Source: 秀和システム