福澤諭吉によって創刊された政論新聞「時事新報」の大阪進出を軸に、関西ジャーナリズムとは何かを論じた研究書だ。
「大阪時事新報」は明治38年創刊。昭和17年に戦時中の新聞統合で「大阪新聞」に統合され、21年に復刊するも24年に再び「大阪新聞」に吸収合併された。
一方、大阪発祥の「朝日」「毎日」の両紙は全国紙として発展した。このため、著者は関西ジャーナリズムが新聞の発展史とともに好意的に語られているとの見方を示す。そのバイアスを補正しようと、敗者に目を向けたという。敗者の歴史から新聞の在り方を問う試みだ。(創元社・4620円)
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2021年8月22日 掲載
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