『魚社会』
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【気になる!】コミック『魚社会』
[レビュアー] 産経新聞社
幻想と現実を交錯させた独自の作風で知られる著者の新作。20編を収録する。
表題作「魚社会」は、進化した魚たちが陸上に進出し、独自の社会を構成する物語。人間社会にも影響を与えていく様子がユーモラスな筆致で描かれる。ほかにも、たい焼きの形から各地の地域性を検証する「鯛(たい)焼き遍歴」など、魚にまつわる印象的な話が多い。
その中でも異彩を放つのが、5編にわたる「カステラ風蒸しケーキ物語」。好みの菓子パンが店頭から姿を消したことを契機に、〝思い出の味〟を再現しようと試行錯誤を繰り返す話で、読み応え十分だ。(panpanya(パンパンヤ)著、白泉社・1078円)