谷川俊太郎さんも実践。気持ちのよい時間をつくる「呼吸法」

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新版 呼吸の本

『新版 呼吸の本』

著者
谷川 俊太郎 [著]/加藤 俊朗 [著]
出版社
フォレスト出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784866801384
発売日
2021/08/23
価格
1,760円(税込)

書籍情報:openBD

谷川俊太郎さんも実践。気持ちのよい時間をつくる「呼吸法」

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

新版 呼吸の本』(谷川俊太郎、加藤俊朗、フォレスト出版)は、詩人の谷川俊太郎さんと呼吸家の加藤俊朗さんによる共著。2010年にサンガから刊行された同名書籍に、おふたりの特別対談、質問コーナー、あとがきを加えた新版です。

まず印象的なのが、谷川さんからみた加藤さんの印象。初対面の時点で加藤さんは“友だちの友だち”でしかなく、どんな仕事をしているのかも、どんな経歴の持ち主なのかも知らなかったというのです。

にもかかわらず、ふだんつきあっている人たちとは違うなにかを感じたのだとか。

しばらくして定期的に呼吸法を習うようになったのだが、加藤さんの言うとおりに呼吸し、からだを動かしていると、時には居眠りが出るほど気持ちがいい。

痛いこと苦しいことはしない、がんばらない無理しない、とにかく気持ちよくやるという先生だから、生徒の私も緊張しないで楽しめる。

加藤さんが自分のアタマ(左脳)というよりは、カラダ(右脳)の感覚と行動を通して身につけた独特な宇宙観、人間観が私にとっては新鮮で、いまだに私は彼に驚かされている。(「谷川俊太郎 まえがき 加藤さんのこと」より)

このような思いを持つ谷川さんは、本書において加藤さんにいろいろな問いかけをしているのです。各章のテーマは、「意識と気づき」「宇宙と気」「からだと心」など多種多様。

きょうは第1章「息と呼吸法」のなかから、呼吸に関する基本的な考え方を確認してみたいと思います。

呼吸法は深呼吸とどう違う?

気持ちを落ち着かせるには、 深呼吸がいいと言われていますが、 呼吸法は深呼吸とどう違うのですか? (14ページより)

端的にいえば、それは「胸」と「腹」の違い。深呼吸が“息を吸ってから吐くやり方”であるのに対し、呼吸法は“吐いてから吸うやり方”だというのです。

深呼吸は、ラジオ体操の呼吸ですね。体操の終わりは深呼吸です。 吸うとき両手を上に上げて、吐くとき下ろす。吸うとき両手を横に広げて、吐くとき両手をおなかの前で組む。

「はい、大きく吸ってー、吐いてー」という感じ。 吸うほうが先で、胸が主導権を握ってます。

(中略) 呼吸は文字どおり吐いてから吸うことを言います。 吐くほうが先で、腹が主導権を握ってます。 (15ページより)

ただし、どちらにも気持ちを落ち着かせてくれるという共通点があるようです。(14ページより)

呼吸法は、いつどんな場所でするべき?

呼吸法はいつどんな場所でするのがいいのですか? 電車の中や喫茶店でしても有効なのでしょうか? (24ページより)

もし一日食事をしなかったとしても、欲しい服を買わなくても、旅行に行かなかったとしても生きていくことはできます。

ただし当然のことながら、呼吸を止めたら死んでしまいます。いわば生命は、呼吸に支配されているわけです。著者はまず、このことをしっかり自覚してほしいと主張しています。

基本的な考えを言いますね。健康も病気も夜つくられるんです。ですから健康になりたい人は寝る前にするといいです。気持ちよく寝ることです。これ絶対ですから。 (25〜26ページより)

また、精神的な病、心の病をお持ちの方は常に呼吸を意識することが大切だといいます。(14ページより)

できるところで、できる長さで

ここ一番というときには、集中力を高めてリラックスする必要があります。だからこそ、呼吸をすることが大切だということ。

仕事中や、勉強中、机に座った状態で、下っ腹を意識して、腹で吐くんです。吐くだけです。効きますよ。重要な会議のときなんかは状況の改善がはかれます。(26ページより)

食事の前(ただし食後1時間は避けたほうがいいようです)、電車のなか、新幹線のなか、喫茶店など、どこでも気がついたらやるべき。歩きながらでもできますし、ふとんのなかでやるのも楽。

そしてできるなら静かなところがいいです。 禅寺、湖畔のそば、樹木の下、自然なところです。

家の中では、静かで整理整頓されているところです。

時間のある人はまず五〜十分くらいから始めてみてください。時間に余裕がない人はもっと短くても大丈夫です。 どのくらいやらないといけない、というのはありません。(26〜27ページより)

大切なのは、困ったときや緊急のとき、切羽詰まったとき、人生の帰路に立ったときなどには、必ず一呼吸入れること。そしてなにより、続けることが重要だと著者はいいます。いいクセ(習慣)を身につけるべきなのだと。(26ページより)

谷川さんは本書について、“ゆったりとした時空に生きるためのヒント”が盛り込まれていると記しています。

なにかにつけて速度が重要視されがちな時代だからこそ、本書で紹介されているメソッドを活用し、あえてスロウ・ダウンを試みてみるべきなのかもしれません。

Source: フォレスト出版

メディアジーン lifehacker
2021年8月30日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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