【気になる!】新書『東京復興ならず 文化首都構想の挫折と戦後日本』

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

【気になる!】新書『東京復興ならず 文化首都構想の挫折と戦後日本』

[レビュアー] 産経新聞社

先の大戦で焼け野原となった東京は戦後、大規模開発を繰り返した。それは本当に「復興」といえるのか。そんな問題意識を抱く著者は、東京帝大の総長も務めた南原(なんばら)繁らによる文化首都構想をはじめ、幻に終わった都市計画を丹念に検証。あり得たかもしれない「もう一つの東京」の可能性を探っている。

浮かび上がるのは「より速く、より高く、より強く」なることを志向し、成熟の機会を逸した首都の姿だ。新型コロナウイルス禍もあり、転出超過が顕在化している東京の未来を思い描く上で参考となる論考。(吉見俊哉著、中公新書・1056円)

産経新聞
2021年8月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク