<東北の本棚>一口食べ思わずにやり

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<東北の本棚>一口食べ思わずにやり

[レビュアー] 河北新報

 仙台市出身のインド料理研究家、印度カリー子さんが手掛けたスパイス料理の弁当レシピ集。料理の味をぐっと引き立たせる良さは分かっていても、どこかハードルが高い感じがするスパイス。だが、簡潔、丁寧な解説と色鮮やかな写真のおかげで、弁当箱を用意したくなる一冊だ。
 定番の「タンドリーチキン」弁当など肉料理が16、シーフードが9、ドライカレーが5の計30種類を用意。メインのおかずには野菜も欠かさず添える。スパイスを効かせたおにぎりといったランチメニューや、一つの皿に複数のおかずとごはんを盛り付けて無限の「味変」を楽しむミールスプレートも紹介する。
 大学1年から毎日弁当を作り続けているというカリー子さん。その経験を凝縮した弁当の数々は、三つの長所を満たしているという。(1)作り方が簡単。冷蔵、冷凍保存で作り置きができる(2)冷めてもおいしくてヘルシー(3)一見普通のお弁当でも、スパイスが最高に効いていて、一口食べると思わずにやりとする-だ。
 朝、冷蔵庫から慌ただしく出したおかずをあったかご飯と一緒に詰めるだけで、お昼にはスパイスが染み渡った弁当にありつける。「にやり」。豊かな香味にあらがえない、味覚の正直な反応を確かめてみたい。(浅)
   ◇
 世界文化社03(3262)5751=1540円。

河北新報
2021年9月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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