疲れない体になる、立っているときの3つの姿勢と動作

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疲れない体になる、立っているときの3つの姿勢と動作

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

疲れないカラダ大図鑑』(夏嶋 隆 著、アスコム)の著者は、「動作解析」の専門家としてこれまでに多くのアスリートたちのトレーニングをサポートしてきたメディカルトレーナー。

動作解析とは、人間の動作を観察・記録して運動学や解剖学、物理学に沿った「人体構造に合った正しい動作」を検証し、それをスポーツの現場に還元していく研究なのだそうです。

人体構造的に間違った姿勢や動作が習慣になってしまうと、肉体的疲労度が増し、パフォーマンスが著しく低下する危険性が高まるものす。つまり姿勢や動作を正すことこそ、体をベストな状態に保つために欠かせないということ。もちろんそれはアスリートだけではなく、一般の人も同じです。

疲労がとれない大きな要因の1つは、日本人の多くが「疲れる姿勢」「疲れる動作」を習慣にしていることが挙げられます。

「疲れる姿勢・動作」によって、じわじわと体に疲労物質がたまり、慢性的な疲労状態に陥っていると考えられるのです。(「はじめに」より)

そこで本書では、「疲れる姿勢・動作」を「疲れない姿勢・動作」に変えることによって肉体的疲労を改善し、「疲れない体」を手に入れるための方法を紹介しているわけです。

きょうは第1部「『疲れない姿勢・動作』の4大ポイント」のなかから「PART 1『立つ』に注目し、ビジネスパーソンの日常に取り入れられそうな3つのポイントをご紹介したいと思います。

疲れない「つり革」の持ち方

疲れているのに、電車が混んでいて座れなかったということはあるもの。そんなときはつり革を持つことも少なくないでしょうが、著者はその際の“持ち方”について指摘をしています。

つり革を持つとき、ほとんどの人は手首を曲げた状態で輪をつかんでいるのではないかと思います。手前側から輪をつかむ人もいれば、奥側からつかむ姿勢の人もいるはずです。しかし、それがよくないようです。

どちらも手首が曲がっているため、腕の筋肉が緊張し、それが肩まで伝わり、こりや痛み、上半身のだるさにつながってしまうというのです。

体に負担がかからないつり革の持ち方は「つり革をしっかりと持たないこと」です。

禅問答のようですが、どうしたらいいかというと、中指と薬指の2本を輪に引っかけるようにします。手の方向は、手のひらが自分に見える方向にしてください。(54〜55ページより)

この持ち方(引っかけ方)をすると、手首を伸ばしたまま無駄な力を使わないですむそう。手首が伸びているので、筋肉の緊張がなく、疲れが残りにくくなるわけです。しかも急ブレーキにも対応できるため、安全面でも安心です。(55ページより)

電車が急に揺れても動じない立ち方

電車がカーブを曲がる際やブレーキが踏まれたとき、その揺れに耐えるのが大変なことがあります。そんなときには体に負担をかけない方法を用いる必要がありますが、そこで参考になるスポーツが相撲なのだそう。

相撲の力士を動作解析してみると、相手の押しに耐えるとき、押された力の方向へ、足を下げるように開いています。

足首の角度はこのとき鈍角(90度以上)です。力士たちは無意識にこれを行なっていますが、人体の構造上、この動きがもっとも力に耐えられる動作なのです。(56ページより)

つまりは、これを電車の揺れに置き換えてみようということ。

両足を平行にして立っているとき電車が揺れ、体が左側から右側に倒れかけたとします。そんなとき、揺れを感じたらとっさに右足を右方向(倒れかけた方向)に開きながら、つま先も右側に向けます。このとき、右足の足首が鈍角になるようにすることがポイント。

この動作をすると、強い揺れがあったときにも、体にかかる負担を半減させることが可能。そのため、筋肉に無理な負担がかからないわけです。(56ページより)

商談前に疲れない取引先の待ち方

ビジネスパーソンにバッグは不可欠ですが、体に負担をかけないために望ましいのは、背中に背負うタイプのリュックサック。リュックサックは体に密着しているため、立っているときも体の重心がブレにくく、体に負担をかけにくいわけです。

なお手提げタイプのビジネスバッグを使っている人は、次の要領で持つと疲れにくくなるといいます。

・カバンを持っている腕を体に密着させる

・骨盤の後ろ側でカバンを持ち、手の甲をお尻につける

・手首を曲げない

(58ページより)

カバンを持つ腕を体に密着させると、体が「1本の木」のようになり重心が安定するということ。また骨盤の後ろ側で持つと、腕の筋肉に頼らず簡単にカバンを持てます。手首を曲げないのは、上半身の筋肉の緊張をゆるめるため。

そして忘れてはならないのは、片方の手だけでカバンを持つのは禁物だということ。体に左右差が生まれてしまい、疲れやすい体になってしまうからです。そのため、左右交互に持つようにすることも大切。(58ページより)

疲れのたまったアスリートに対して行ってきた指導がもとになっているだけあって、相応の効果が期待できそう。しかもすべてのメソッドを実践する必要はなく、気になる項目だけを試してみるだけでもいいとか。疲れているなと感じているなら、参考にしてみてはいかがでしょうか?

Source: アスコム

メディアジーン lifehacker
2021年9月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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