[読売新聞記者が選ぶ]『みんなの金融―良い人生と善い社会のための金融論』『歴史なき時代に 私たちが失ったもの 取り戻すもの』

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みんなの金融

『みんなの金融』

著者
駒村 康平 [著、編集]
出版社
新泉社
ジャンル
社会科学/経済・財政・統計
ISBN
9784787721075
発売日
2021/05/27
価格
3,080円(税込)

書籍情報:openBD

歴史なき時代に 私たちが失ったもの 取り戻すもの

『歴史なき時代に 私たちが失ったもの 取り戻すもの』

著者
與那覇潤 [著]
出版社
朝日新聞出版
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784022951236
発売日
2021/06/18
価格
1,210円(税込)

書籍情報:openBD

[読売新聞記者が選ぶ]『みんなの金融―良い人生と善い社会のための金融論』『歴史なき時代に 私たちが失ったもの 取り戻すもの』

[レビュアー] 読売新聞

みんなの金融 駒村康平編著

 国民の金融資産の半分は現預金が占め、株式や投資信託は1割強。「貯蓄から投資へ」の流れは停滞し、人生100年時代が現実味を帯びる中、老後に備えた資産形成も道半ば。投資へのアレルギーが強い日本の金融教育は周回遅れのままだ。

 本書は、こうした問題意識の下、学者と実務家がタッグを組んで慶大で開講した人気講義「長寿と金融」をベースに一般読者が理解できるようデータや用語説明を加えて再構成した。

 講師陣が強調するのは、金融が持つ可能性と有用性。多くの国民が正しい金融知識を身に付け、資金循環が生まれれば、個人が良い人生を送り、善い社会が実現できると説く。(新泉社、3080円)(徹)

歴史なき時代に 與那覇潤著

 在野で活動する歴史学者の時評や対話を集めた。忖度(そんたく)抜きで、舌鋒(ぜっぽう)鋭く社会を斬っている。

 例えば、コロナ禍での多くの知識人の態度。普段は日本の同調圧力をやゆしているのに、日本政府が自粛を要請するや、「妥当性を吟味せずに追従した人のなんと多かったことか」。ほかにも、歴史学を中心とした人文学の現状、政治などを次々に俎上(そじょう)に載せる。

 著者が目指すのは、社会の中で共感を作り直すこと。相互の共感を基礎づける媒体であるはずの歴史も「とっくに死んでしまった」。厳しい指摘も多いが、しばしば知識人も発するSNSでの罵詈(ばり)雑言とは、まったく違う。(朝日新書、1210円)(佑)

読売新聞
2021年8月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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